第七十九話 ページ29
Aside
「会合……？」
名「そう、会合。
的場が祓い屋達を集めて行うんだ。情報の交換などを目的にね」
“的場”というワードにピクリと反応を示してしまう。
私の過去を知っている…そして、危険なひと。私が思っていたのとは、違うひと
(その人が開く会ってことは、あたりまえだけど、的場さんもいるんだろうな……今度は、本当に、行動に移されるかもしれない…)
すると、私の不安を汲み取ってか、名取さんはその大きな手で頭を撫でてくれる。
名「大丈夫。的場一門は今回大きな仕事があるから、欠席するといわれているんだ…行くかい？」
「はい！」
的場さんがいないときいて安心した。
(どんな感じなんだろう…)
明日が楽しみだ。そこには私達と理解しあえる人たちばかりで、きっと色んな事を知れると思うと、楽しみでしょうがない
こうして私と名取さんは、的場欠席回(？)の会合に行くことになったのだった
「すごい。広い……」
初めて来た会合。
場所は妖が見えるものにしか分からないようになっていて、中はとても広く、既に多くのひとが集まっていて、人と妖の気が混じっていた。
というより、学校より大きな建物は初めてかもしれない
名「おれもね、ここに初めて来たのは高校生の時なんだよ」
「そうなんですか？」
名「うん……名取は廃業してたから、最初は白い目でみられてたなぁ…今でもそうだけどね」
「ぇ…」
名「廃業してたのにおれみたいな出来のいい見えるやつが出てきたもんだから、面白くないと思う人たちもいるのさ」
きらきらさせながら、さらっと言ってのける名取さん。
(名取さん、そこ、笑うところじゃないです)
今は笑っているけど、むかしは嫌な思いをたくさんしたのかもしれない…
(名取さんが、嫌な思いするのって、嫌だなぁ……)
「ありがとうございます」
名「へ？……ど、どうして？」
私が急にお礼をいったことに、驚いている様子の名取さん。
「だって、名取さんが、ここに通い続けたりして祓い屋になってないと、私、何も知らないままだったと思うから」
そう。
誰も身近に手をさしのべてくれるひとが居なかったわけだから。
名「………ははっ……Aちゃんは面白いね」
そう言って名取さんは笑った
「何が面白いんですか！(｀´)真剣ですよ！」
名取さんが笑顔になるのは嬉しいけど、私を笑ってるのじゃ話が違う！
(何処が面白いのか全く分からない！)
名「うん、知ってるよ…ありがとう」
「？……」
さっきまで笑っていたのに、急に名取さんは優しい顔をしてお礼をいう。
本当に分からない
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作者名：穴 | 作成日時：2020年8月25日 19時
