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第七十六話 ページ26

Aside

的「…それとも、名前を偽っていきなければならないほど明るみに出てはならないやましい過去でも?」

「そんなっ、あるわけないです!」

むしろ私は被害者で。
やましいことなんて、何一つ、ない

的「そうですか。ですが、この事が露見してしまえばどうなるでしょう」

が妖しくつりあがる的場さんの唇

「?…」

的「まぁまず、貴女の身辺調査が行われ、名取の社会的地位が奪われるでしょうね。未成年の得たいの知れない女を家に住まわせているんですから。

……あぁ、それとあの夫妻ですかね。近所からは白い目で見られ、両者とも、信頼を失うことでしょう

いわば、社会的な死ですね」

“社会的な死”……

未だに状況をのみ込めない。つまり、的場さんは私が一門に入らなかったら、その手段をとるっていうことで…

私が。その事実が世間に知れ渡ったら、大切な人たちは___


グッと拳を握りしめる

「それが?」

的「ふふ……動じないんですね。面白い。

まぁ、そんなことはどうでもいいんですよ。一門に入れば」

きっとこの人は、私を脅しているだけだ。だから、本当にばらすなんて事、あるわけがない。

動揺するな。私____

「さっきも言ったように一門には__」

的「入りますよね?

貴女は、切り捨てることができない、彼らを」



「……」


目を細めて、私を見下ろす。

見透かされているような気分だ。


そうだった。この人は、“欠けてる”んだった

私を見下ろすその瞳をみる。このこの瞳は、やる。きっと、脅しだけど必要なら、この人は私の回りの大切な人に、社会的な死をもたらす

嘘じゃない。瞳をみればわかる
本当に、そんなことはどうでもいいんだ。この人には

ゾワッ

でも、そこまでして私を引き入れる必要性は__?
一瞬浮かんだ疑問も、恐怖によって掻き消され


「私っ……帰ります……」

とっさに背を向け、その瞳から逃れるように、走ろうとした時


的場さんの手が延びて、私の手首を……掠めた?


名「やはり的場さんでしたか。」



そんな声がして、横にぐいっと引っ張られる。その先には、名取さん___
そしてその勢いのまま、スッポリと名取さんの胸に収まる

名「この子は渡しませんから」
的「……」

二人の間に妙な沈黙が流れ、睨みあった末口を開く的場さん

的「私はなにもしていませんよ。そんなに睨まないで下さい」

にっこり笑う的場さんに警戒心を強め、私を強く抱き締める

名「これ以上、Aちゃんに近づかないでいたできたい。

では。行こう、Aちゃん」

そのまま手を引かれ、その場を離れた_

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作者名: | 作成日時:2020年8月25日 19時

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