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第七十四話 ページ24

Aside

帰ったら、名取さんにはなそう

そう思うと、たのしみで早く帰りたくなる。
久しぶりの塔子さんと滋さん。まだ多分三週間ぐらいしか経ってないのに、何だか懐かしくって、嬉しくて、たくさん話をしてしまった。

スキップしたくなる気持ちを押さえて、マンションへの帰る道を歩いていると、人通りの少ない道に一人。男の人が見える。

何してるんだろうと一瞬気になりはしたが、あまり気にもとめない。

だが、その横を通りすぎるとき__

ゾワッ

身体を小さな嫌悪感が襲う。
少し行った先で私は足を止める。

嫌な予感がする。
(今の感じは……)
どこかで感じたことのある。これは、確か、あの時だ。あの日、お堂を見張っていたとき__


??「無視ですか?」

「っ!」

的「覚えてますよね?東明Aさん」
「!!」

その言葉で確信を持ちバッと後ろを振り替える。確かにその声は、私の名前をなぞった。


「的場……さん」

彼はわたしの小さな声を拾い、目を細める。

視線の先には、あの着物姿で、右目に眼帯をつけた、一本結びのきれいな男が笑っている。

静かに。妖しく。
うすっぺらい笑みを顔に張り付けて

「な、んで名前…」

衝撃でうまく舌がまわらず言葉が途切れる

的「簡単ですよ。少し調べればわかることだ。以前まで藤原家に居たという事や、今は名取のマンションにいるという事も。」

(なぜ住んでいるところが……?まさか、つけて来ていたのは的場の人物_?)

「何が、目的ですか」

動揺を見せないよう、ぐっと強く出る。隙を見せちゃダメだ。と、思い、平静を装う。

的「そんなに警戒していただかなくてもいい。


貴女。的場一門に入りませんか?」

「へ?」

戸惑う私に的場さんはつらつらと言葉を並べる

的「妖の見えない、理解のない人間といるのはさぞかし辛いことだったでしょう。
だから名取のもとにいるのでしょう?ですが、貴女ほどの者なら、的場にいた方が利口だ。」

この人、何を言ってるんだ……?

その言葉達に、胸がざわめく。
この人の言い方や、言葉は好きじゃない。しかも的場さんは、私が、塔子さん達と妖が見えない人と一緒に暮らすのは辛いとかいう勝手な解釈までしてる。

的「一門にはいれば、守ってやれるし、強くなれる。賢い判断ができるようにもね。

うちに、来ませんか?」

もう一度、的場さんは強くそう言う。

この時点で、わたしの答えは決まりきっている。

「私は_____」

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作者名: | 作成日時:2020年8月25日 19時

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