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第七十一話 ページ21

夏目side

夏「A…!!」

「夏目、おはよう」

塔子さんや滋さんと楽しげに話しているAの姿。麦わら帽子を被っていて、おれが名前を呼んだことで、隠れていた、あの真っ直ぐで綺麗な瞳に捕まる。


胸が、締め付けられる


あの優しく、花のような笑顔が、今日も変わらず咲いている。それに、安堵を覚えた

塔「ふふ…貴志くんったら、挨拶も無しに名前呼んじゃうんだもの」

夏「あ……お、おはよう///」

そんなおれを、Aは小さく笑った

滋「本当、よく来たね、嬉しいよ」
塔「ゆっくりしていってね」

「はい…!!」

以前のような、今にも増した暖かさが、家を包んでいく_____




「_それでですよ?田沼も一緒に来ちゃってて……もう皆大笑い!田沼は何にも気づいていないんですよ!鈍いと言うか…面白いでしょう?」

塔「ふふっ田沼くんってば、とっても面白いのね。」
滋「天然とも言うね。…私も、高校生の時に、そういうことがあったな…」

夏「滋さんにもですか?」

滋「あぁ、それで私も笑い者にされたことがあるよ」
「意外です…あっ!でもこの話しにはまだ続きがあるんですよ?そのあと西村が__」

瞳を輝かせて、心底楽しそうに笑うA。いつもよりも全然よく喋っていて、おれ自身、驚いている。

家で一緒にいたときよりも、学校でいるときよりも、まるで別人だ。その上話し上手だ。

そのせいで、おれや塔子さんたちもついついAの話しに聞き入ってしまう。

塔子さんや、滋さんの笑い声や自分やAの笑い声が響くたび、幸せだなぁと感じてしまう。ちょっとしたことなのに、こんなキモチにさせてくるAは、とてつもないやつだ

塔「はぁ__面白かったわ……笑いすぎて疲れちゃうなんてこと、何時ぶりかしら」
滋「あぁ、いつぶりだろう…」
「へへ。まだまだありますよ?」
塔「そうなの?でも私たちはいいから、貴志くんとも話してらっしゃい?」
滋「お互い積もる話もあるだろう」

二人にそう促され、二回の部屋に上がる

「塔子さん達、元気そうだね」
夏「あぁ、今日なんて特に。Aのおかげだ」
「大袈裟だなぁ」

そして部屋に入って_

夏「あ」

大事なことを忘れていた

(そういえば部屋で中級達を待たせたままだった!)

「あれ?中級達だ、久しぶりっ?!」

続けて入ってきたAを、待ちきれんとばかりに中級達が担ぎ上げる

中A「行きますぞ!東明様〜!」
中B「ほれ夏目様も!」
夏「?!」

ついにはおれまでもが担ぎ上げられ、Aとゆっくり話すまもなく連れ去られていったのだった

中「「いざ!夏目様、東明様を偲ぶ会へ!」」

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作者名: | 作成日時:2020年8月25日 19時

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