第六十九話 ページ19
Aside
依「君の友人関係に口出しすべきではないが、厄介な祓い屋なんかと付き合うもんじゃない。気が済んだら離れた方がいい。」
「………」
依「……それだけだ。知っておいてくれ。境界に立ちながら、普通を生きていくつもりならば」
「はい……」
そう言うと、依島さんは、部屋を出ていった。
何だか、パッとしない。渦が胸の中で渦巻いている。
ぐるぐるしていて…確かに依島さんの言いたいことはわかるけど、何だか、納得できないなぁ……
これ以上考えてもスッキリする気配がないから、また本に視線を戻し、読み始める
＿＿＿＿＿＿＿＿＿
それから毎日依島さんの家においてある資料と名取さんが持ってくる資料を読んでは、大事な部分を暗記して…の繰り返し。
家が山奥にあるから自然豊かで、時々気分転換に外に出たりもした。
そしてようやく一週間が経った。
ようやくお泊まりは終わり、名取さんのマンションに帰ってきた。たった一週間だったけどもう一年ぐらい家を空けていた気分だ。
それから一日して、今日は夏目の家に遊びにいく日。といっても塔子さん達の家だけど
名「おや、今日はどこかいくのかい？」
「はい！夏目と遊ぶ約束なんです」
名「そう、楽しんできなさい。くれぐれも、妖には気を付けるんだよ」
「大丈夫です」
名取さんは優しく目を細め、頭を撫でてくれる
マンションを出て、塔子さんの家へと向かう。あれ以来、まだ一度も顔を会わせていない。
(どうだろう、喜んでくれるかな…？)
そんなことを思ってもらえるわけがないのに、そう思ってしまう。悪い癖だ
手土産に七辻屋の饅頭を買って、家へと急ぐ。夏目と私と先生と、皆で食べれたらなぁ……
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ちょこっと名取side
名「どうだった」
柊「的場の者と妖のようです。」
やはり、か……いったい何が目的で？
名「それで？」
柊「ここを特定されたようです。多分夏休みにはいる前から」
名「！……そうか。」
だが幸い彼女の様子を見ていても、特に接触したような様子はなく、変わった様子も見せていない。
場所を特定してどうするつもりなのか。まぁおおよそ予想はつく。十中八九的場一門にAちゃんを引き入れるためだろう。だが彼女が自らの意思で望んで入るとは思えない。彼女と的場のやり方は違うし、第一彼女は祓い屋になるつもりはないのだから
柊「今日はあいつは何処に行っている」
名「夏目のもとへ遊びにいくそうだ」
夕方には帰ってくると約束もしてくれたし、夏目のもとにはあの猫ちゃんもいる。何もなければまず危険な目に遭うことはない筈
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作者名：穴 | 作成日時：2020年8月25日 19時
