今日:16 hit、昨日:4 hit、合計:156,741 hit
小|中|大
78〜過去編Ren〜 ページ29
「なんで…紫耀…なにも言わずにいなくなったの?」
てっきり仮卒で休んでいると思っていたA。
旅立つ家を日にポストに入れられた紫耀の汚い字の手紙には、
“Aのこと頼む。泣かせたら許さないから”
とだけ書かれていた。
同じ日に入れたであろう、Aの手にもつ紫耀からの手紙を読んで、目の前で泣くAに、俺はなんも言えなかった。
紫耀が海外の大学に知っていたことへと罪悪感なのか、ライバルがいなくなったことへの安心感なのか。
きっとどちらもだろう。
俺の腕の中で泣くAをただ抱きしめることしか出来なかった。
「廉は…、ずっと幼馴染でいてくれるよね?」
ひたすら泣くAから言われた言葉。
この時から、呪いにかけられたように俺のAへの恋心に蓋を閉じることに決めた。
いつか、紫耀が帰ってきたときに笑ってAを渡せるように。
そして、Aが俺のことを気にせずまっすぐ紫耀にいけるように。
それから8年間、紫耀とこの会社で再会するまで一度も会うことはなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
959人がお気に入り
959人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:チロル | 作成日時:2020年6月12日 12時