マッチングアプリ。【オリオンの刻印】 (ページ29)

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「じゃあ、気を付けて」

「ありがとう！またあとでね」

車を降りて、きりなくんに手を振ると、車内から手を振り返してくれた。

そして姿が見えなくなるまで見送った。

「…楽しかった」

普通に楽しかった。きりなくんの連絡を待つのみ

LINEにたくさん届いていた通知を確認した。

ほとんど公式アカウントからで、ゆうまくんからはなにも来ていない。

今日忙しいのかもな

そんなことを思いながら帰路についた。

＊

＊

一週間が経った。あれからはきりなくんからもちろんLINEが来て、また遊ぼうと約束を取り交わし、ずっとお話をしている。

そして、いよいよ今日はゆうまくんとのデート。

私は他の人ともアプリで話していて、最近は「ヒロト」と「あきお」とLINEを交換した。

どちらかというと二人は悪い系の感じ。チャラいというよりかは、ちょっと危ない感じ。

けど、私は恋愛に刺激が必要な人だからたまにはそういう系の男性と遊ぶのもいいかなって。

待ち合わせ場所に向かうと、すでにゆうまくんがいた。

今日は美術館デートだから、水色のリボンが付いたシャツに黒のワンピース。髪の毛は軽くポニーテールしている。

ゆうまくんもおしゃれな格好で、白シャツに黒ズボンと紳士的な格好

「ごめんお待たせしました！」

「あ、Aちゃん。全然待ってないよ、来てくれてありがとう」

にこやかに微笑むゆうまくん

やっぱりかっこいい～！！

「こちらこそありがとう！早速行く？」

「ああ、そうだね。ちょっと10分くらい歩くけどいいかな？」

「うん！大丈夫だよ！いこっか」

最近こういうことがあって、こう過ごしていた、とか、お互い一人暮らしだからこのご飯だと格安に作れるとか楽しい話をして歩いていた。

美術館のチケット代はゆうまくんが払ってくれた。

休日だから人も多くて、並んでいたし館内は混んでいた。

「人多いね、最終日なのもあって」

「そうだね！やっぱり人気だねこの人の展示」

若い画家さんで、私とゆうまくんが推している人

可愛い絵も描くし、芸術的なすごい絵を描いたりもしてる

楽しみだな～と思っていた時だった

前方のグッズ売り場から出てきたのだろうか。目の前から歩いてきた女の子が私を見て、そのあと目線をゆうまくんに移した。

ゆうまくんはパンフレットを見ていて全く気付いていない。

そして、女の子はなぜか私を睨みつける。

「え…？」

「どうした？」

私の声にゆうまくんが反応した。