マッチングアプリ。【オリオンの刻印】 (ページ28)

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あれから一時間くらい車を走らせ、信号停車中に話していた。

「Aちゃんは明日何か予定は？」

「何もないよ～ゆっくり過ごすつもり。きりなくんは？」

明日の予定を聞いてきて少しどきっとした。もしかして一夜を狙ってる？

…でももし迫られても断るつもり。そんな用意なんてしてもない。

「俺は明日脱毛しに行くんだ」

「え！すごい！美意識たか…」

男の子でもする時代だけど身近にいたとは…

「あはは、ありがとう。友達に誘われてさ、そこから行くようになって」

「そうなんだ。すごいね」

「そういう脱毛とかエステとか行ったりしてる？
でもAちゃんそういうの行かなくても全然大丈夫そうだよね」

そうだね～と言って、自分の手首を裏にして腕を見るふりをする

たぶん、表にして腕に触れて来る。

そう思って、わざと。

「行かないかも！高いしそんなにいいかな～って」

そう言うと、きりなくんは私の腕を握ってきた。

…ほらね

そして、私のすべすべな腕を掴んで表に返した。

「Aちゃん本当に薄いよね。すごいな」

絶対触れてくると思った

まあ、ちゃんと自分でケアしてるし？

「ありがとう。そんなに濃くはないかも」

「ほんとうに、すごいな」

ちょっと笑顔になるきりなくん。

腕にももちろんボディークリームを塗ってるから肌はさらにもち肌。

塗っててよかった。

・

そして目的地に着いて、私の家の近くのスーパーに到着した。

外の電灯も暗く、車内ももちろん暗め。

「今日はありがとう、また遊び行こう」

お誘いきた！

「もちろん、今日はこちらこそありがとう。また行こうね！」

「帰ったら連絡する」

「うん、…待ってる」

そう言って、お互いじっと見つめ合った。

お互い名残惜しい雰囲気でもあるし、このまま何か起こってもおかしくはなさそうだ

…でも、帰らないと

シートベルトを外し、取っ手を触ろうとした。

ここで最後仕掛ける。

車内が暗くて見えずらいことを理由に、取っ手を手探りで探す振りをした。

「え、っと」

「あ、ごめん！暗いよな」

そう言って、運転席から身を乗り出して、私の身体の前にきりなくんの手が伸びてきた。

すごい一気に距離がぐんと近くなった。

そして取っ手をとって、軽く扉を開けてくれた。

「はい、どうぞ」

「暗くて見えなかった！ありがとう」

そう言って笑顔で言うと、きりなくんも笑った。