チューベローズの初恋 続【呪術廻戦】

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孔さんに幾つかの頼み事と必要な資金を渡し
夜のうちに自宅の荷物をまとめ、段ボールに詰めた

家具類はそのままで
自分の分の雑貨は必要最低限だけ残し、ほぼ処分すると
思っていたより五条君の物が多くて
目につくたびに手を止めてしまい、終わった頃にはもう日付が変わっていた


沖縄で買ったという不細工なシーサーの置物は
どうしようかと長い時間悩んだが
最後の最後にもう考えるのは止めて
段ボールに放り込んだ



まとめた荷物を玄関先に移動させ、
少し余白が大きくなったリビングから部屋を眺めてみると
五条君と2人で過ごした跡がまだちらほらと浮かび上がる



ほとんど彼のゲームのためにあったようなテレビ
特に用もなく、ただ隣で料理をする私を満足そうに眺めていたキッチン
初めてキスをしたソファ
何度も甘い時間を過ごした寝室




たった数カ月でこんなに彼でいっぱいになるとは思わなかった


私の匂いに弱いくせに
それを悟られないように
自分を抑えて優しく私に触れる大きな手が
どうしようもないほど愛おしかった

貴方になら、
どんなに乱暴に求められても
きっと私は許してしまう



もっと触れて欲しかった

隣に並んで、
甘い声で絆して愛して欲しかった







『…さとる、』



何度お願いされても
恥ずかしくて呼べなかった彼の名前

私が呼ぶまで自分も"先輩"と呼び続けると
馬鹿みたいに意地を張り合って

いつか自然と名前で呼び合えるようになると思っていたのに、こんなに早く終わりが来るなんて









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早く私を忘れて欲しい、



いつまでも
頭のどこかで想い続けていて欲しい、









彼のことを思う気持ちと
自分の我儘な願いが混ざって気持ち悪い

最後までずるいことをする女を許して欲しい




心の中で五条くんに謝りながら、

あたかも忘れていったように
ベランダにタバコの箱を置いて部屋を出た

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