チューベローズの初恋 続【呪術廻戦】

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自己紹介も、名前を聞くこともせず、
ただ蠅頭を祓って「 早く帰りなよ 」とだけ言い残して車に戻り、
都内の自宅までの帰り道にメールを見ながら耽った

内容は、
明日から任務で地方に飛ばされるため
3日ほどは帰れないというもの


なんともタイミングよく入ってくれた任務を
喜ぶべきか、
恨むべきか、


窓に凭れて悩んでいると
新しく硝子からのメールが届く

文面は ” 脱走失敗(3回目) ”
添付された画像は
寮の玄関で夜蛾先生に捕まり、
ヘッドロックされている五条君

高校生らしい緩い雰囲気の写真に思わず笑みが零れた







「彼氏からか？」

『…まあね。』





「どんな気分なんだ？昔の男を今の男に殺されるって。」

『別に。甚爾さんは私の男じゃないし、どうせ先に殺そうとしたのは甚爾さんでしょ。』





「もっと動揺すると思ったんだがな。」

『好きだったよ。特別だった。でも五条君を愛してる。彼が生きてることが、何倍も嬉しい。』








だからこんなにも悩んでいるのだ、

彼を大事にしたい、傷つけたくない、
このまま彼の傍で、
彼の愛に欠伸しながら甘えていたいと、心から思う



それでも愛する人に
自分の過去を、強さを、 罪 だなんて思って欲しくない
誰も届かないほど強くなっていく彼を
こんな形でしか守れない弱い自分が嫌で堪らない









『依頼は受ける。その代わり、お願いがある。』


「…悪いな。」









『なんで謝るの？』


「大人の尻拭いを、青春真っ盛りの女の子に押し付けるのは気が引けるんだよ。」









『じゃあ最初からさせないでよ。せっかく良い男を見つけた所だったのに。』


「すまん。」

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