チューベローズの初恋 続【呪術廻戦】

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否定も肯定もせず
ただ黙って続く言葉を不安そうに聞いている恵

まだ6歳の子どもなんだから
今日の晩御飯のおかずでも考えてればいいのに、

悩み事までそこらの子どもには似つかわしくない







『残念。式神が使えるくらいじゃ、私は欲しがらないよ。』

「…なんでだよ。珍しいって言ってただろ。」






『私の術式の方が珍しいし、ずっと強い。恵の力なんか足元にも及ばないもん。』

「はあ？」







『悔しかったら早く強くなりな。今度は恵が私を守れるくらい。』

「…なる。見てろよ。10年くらい経ったら追い抜いてやるから。」








『10年後ってとこがリアルだね。でも絶対無理。』

「無理じゃない！Aも津美紀も守れるようになる！」









起き上がって不満そうに膨らむ頬を
指で突いてからかってやると拗ねて出て行ってしまった

仕方なく怠くて重い体を起こしてリビングに移動し
機嫌を直そうと子どもに人気のジュースで釣ってみたが効果はなし

声をかけても無視して背中を向け、ソファに座っている
まだ怒っているのかと顔を覗いてみたら寧ろ嬉しそうに笑っていた







『そんなに怒んないでよ。私の力でも守れるうちは、大事な恵を守らせて。』

「…。」







『かわいいねぇ。ハグしてあげようか。』

「しなくていい！」









やっぱり嫌がるのは口だけで
簡単に腕の中に収まる素直で小さな恵を後ろから抱きしめ
さっきの話の続きをした

顔を上げて話を聞こうとする恵に目を合わせて
少し真面目に声を落として、言い聞かせる









『でね、これから私は家を空けることが多くなる。』

「なんで？」









『仕事が増えたの。急に何日も居なくなるかもしれない。』

「……ん。」









『だから、もし恵の周りで変な人がうろつきだしたら直ぐに教えてね。』

「変な人ってどんなの？」









『…着物とかスーツ着てたり、やたら黒い服着てたり、…サングラスとかで目を隠してたり…、』

「…？」









まだ一目見たくらいじゃ呪術師かどうか分からない恵に
なんとなく呪術師の特徴を伝えてみるが、やはり難しい
まあ勘が良い子だから実際に会えば分かるだろうけど








『とにかく、じろじろ見られたり声かけられたりしても、相手にしないで。しつこかったら、私を探すか、この家に逃げておいで。』


「連れて行かれるの？」









『分かんない。まあそうなったら、助けに行くから大丈夫。』


「？」

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