チューベローズの初恋 続【呪術廻戦】

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カーテンの隙間から薄らと射し込む朝日と
腰のあたりに圧し掛かる重みのせいで目が覚めた

昨晩京都を出発したのは24時過ぎ
自宅に到着し、ベッドに入ったのは4時近かった


深い眠りに付いていたところを無理やり起こされ
全く意識がはっきりしない

乗りかかる小さな影をぼやける視界で確かめると
容赦なくベッドを揺らしながらどんどん上の方に登って来た







『……。早いよ、恵』

「早くない。いつまで寝てんだよ。」





『…何時？』

「8時50分」




数字の書いてないアナログ時計を見て難なく答える恵
聞いたのは自分だが少し感心する
今の小学生1年生は時計の読み方をマスターするのが早い








『また勝手に入ってきて…。津美紀は？』

「友達と公園。」





『何かあったらどうすんの？』

「玉犬が傍に付いてる。」






『……ほんとに小1？優秀過ぎない？』

「約束は守る。」







ほんの少しだけ自慢げに、私の上に乗ってはにかむ恵
玉犬が付いているのならある程度の呪霊は祓えるし
何かあればすぐ分かるのであまり心配しなくてもいい

ほんとに頭も勘もよくて、才能がある子だ
もっとちゃんと呪術の勉強ができる環境で、呪術師を目指せばいいのに


ぼんやりと高専が頭に浮かびながら
黙ったままの私にぽかんとしている恵を布団の中に招き入れた









『いい子だね。偉いよ、恵。』

「…。」







まだ小さな体を抱き締めてやると
嫌がりもせず大人しく受け入れる素直さに頬が緩む


この子のために、最愛の人を置いてきたのだけれど
それで恵が笑って暮らせているのなら、何の後悔もない
少しでも幸せを感じてくれたいたら、これ以上嬉しいことはない









『ねぇ、恵。』

「…なに？」







『…これから恵を訪ねて色んな人が会いに来るかもしれないんだけど、』

「俺に術式が出てきたから？」







『そうそう。』

「…。…Aも、俺がこんな力持ってるから、俺の所に居てくれるの？」






急に服を掴んでえらく不安そうな顔をする恵
そんなことを考えていたのかと少し驚いてもう一度抱きしめると
今度は小さな手が背中に回された







『…、そうだね。恵を守らないといけないから。』

「…。」







『こわいの？…いつか私が、恵の力を自分の為に利用するかもしれない？』

「…。」

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