小さな恋敵 �� ページ45
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結局あのまま恵はこの家で過ごして
Aさんが帰るよ、と言い聞かせるまで
ぴったり隣にくっついて離れてくれなかった
もう17時も過ぎて外は陽が落ち始める
買い物に寄って家まで送ってくるというAさんと
少しでも離れるのは惜しくて一緒に付いて行くことにした
本当なら息が詰まるほど甘い時間を過ごすはずだったのに、
邪魔されたせめてもの腹いせに
暴れて嫌がる恵を無理やり子ども用のトー〇スのカートに乗せ
写真を撮って騒いでいるとAさんに怒られた
『悟いるから、お米買おっか。』
「ちょっと。僕に米持たせるつもり？」
大人しくカゴを持って後ろを付いて歩いていると
思いついたように振り返るAさん
『だめ？』
「…だめじゃない。」
しゃがんで一番下の棚にある
一番重そうな米を指さして首をかしげねだられる
そんな顔でお願いされたら何でも聞いてしまいそう
6歳の子どもの好みとは思えない
生姜を持って帰って来た恵をからかいながら
左手には食材の入ったカゴを、
右手には大きな米を抱えてレジに向かった
買い物の荷物持ちなんて人生で初めてだけど、
案外普通の恋人みたいで悪くはない
昔もベッドのシーツを洗濯させられたし、
さっきもお昼の後に皿洗いをした
あの僕が一人の女にこんなに従順になってしまうなんて
昔の自分が知ったらどんな顔をするだろう
「あ、恵とAちゃんだ！五条さんもいる！」
『おかえり、津美紀。』
「久しぶりだね。津美紀ちゃん。」
「なに買ったの？」
『んー、……いろいろ。』
アパートまでの途中でタイミングよく鉢合い
元気に走ってくる津美紀ちゃん
僕と会うのは2回目だけど人見知りもなく、お辞儀をして
Aさんに抱き着いてから
恵が持ってた袋を一つ手伝う優しい子だ
「…もういい。」
その津美紀ちゃんのすぐ後ろを付いて来た白と黒の2匹の犬
おそらくそれなりに高位の式神だが
恵に頭を撫でられ尻尾を振っている
「禪院家がしつこいわけだ。あれ、確か相伝の内の１つだよ。」
『もっと使えない術式でも継いでくれてたら楽だったんだけど。』
「まだ子どもなのに、イイ感じじゃん。」
『うん。そこらの呪霊なら問題ないし、何かあればすぐ分かるから良いんだけど…、』
術式を解く恵を見ながらいつの間にか手の中にある
紙切れを眺めて溜め息をつくAさん
「…？」
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縞(プロフ) - ゆきえもんさん» ご指摘ありがとうございました。修正しておきます。 (2021年1月28日 16時) (
レス) id: c197e34fed (このIDを非表示/違反報告)
ゆきえもん - 33､34に使われている『役不足』は「能力に対して役が不足している」という意味なので『力不足』か造語ではありますが『役者不足』の方が合うと思います(後者は誤用だとツッコまれるかもしれませんが…)。とても好みの作品なのでこれからも応援しています。 (2021年1月27日 23時) (レス) id: eb1315ed8d (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ* - 初コメ失礼いたします。 チューベローズの続編が見たいです。大きくなった恵君との絡みや他のキャラとの絡みが見てみたいです。 (2020年5月17日 19時) (レス) id: cd2ef48f8b (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - 初コメ失礼します。チューベローズの初恋の続編を見てみたいです！よろしくお願いします。 (2020年5月17日 10時) (レス) id: 2503e394d8 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - 初コメ失礼します。しにたがり姫の方も好きで続編を是非見たいのですが、チューベローズの大きくなった恵などを見てみたいです！よろしくお願いします！ (2020年5月17日 8時) (レス) id: 58d70e644d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：縞 | 作成日時：2020年4月24日 15時
