チューベローズの初恋【呪術廻戦】 (ページ39)

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3週間ほどが経ち、
怪我も体力も十分に回復した

夜蛾先生の指示による2年生の警護も解かれ
もう以前のように1人で任務を行っている

しかし相変わらず五条君は頻繁に家に訪れる
日々彼の着替えやらゲームやらが増え続けてしまい、
最初は断っていたが、一度許すと気付けば
物が少なかった我が家はどんどん浸食されていった

「バスタオル買った？」

『買った。歯ブラシとカップも。』

「俺が使っていいの？」

『使わなくてもいい。』

昨日の買い物のときに何気なく買った彼用の品たち
自分の予備だと言い聞かせながら
彼に合うような色合いやサイズばかりカートに入れていく自分に
お会計をしながらため息が零れた

「…もう使った。」

それを見透かしたように笑いながら
お風呂上り、自分と同じ匂いを漂わせながら
ソファでテレビを見ていた私を後ろから抱きしめる五条君

仕事がない日はほぼ彼と過ごしている
ただ話して、一緒に布団に入り、朝になると彼は学校へ向かう

おかげ(？)で夜に誰かと会うことはすっかりなくなってしまったが
不思議と不満感はなく、むしろ前より満たされている

『今さらだけど、寮生だよね。怒られないの？』

「毎朝怒られてる。」

『…帰ったら？』

「無理。……ねえ、先輩。」

ソファの背凭れを長い足で軽々と乗り越え
空いたスペースに胡坐をかくと
腰に腕を回し引き摺るように私を自分の上に乗せる五条君

そのまま彼の体に凭れて身を任せると
耳元に息がかかり少し肩が跳ねる

「もう、期待してもいい？」

『…。』

「…まだ？」

『…。』

こういう駆け引きは、あまり得意じゃない

気持ちを確かめるように甘い言葉を囁かれることも、
不安定な関係に無理に名前を付け縛られるのも嫌い、

［愛］という重くて、動けなくなる感情を背負うのも拒んできた

でもそれが彼のものなら何も嫌じゃない
五条君の愛に縛られてみたいとさえ思う

あの突然の電話から数カ月、
よく愛想を尽かさずに想い続けてくれた優しい人だ

『…もういいよ。』

「…俺の事、好き？」

『好き。』

「せんぱ…」

まだ何か言おうとする五条君に
もう黙って抱きしめて欲しくて軽くキスをすると
少しだけ耳が赤くなった彼を可愛いと思う

そのまま照れた顔を眺めて楽しんでいると
今度は彼の方から甘くて深いキスが返された