チューベローズの初恋【呪術廻戦】 (ページ37)

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最後の一匹がどこかへ逃げ込んでしまい
柳井さんとは二手に分かれて
残穢を辿りながら最上階まで上がる

続く形跡と漏れ出てくる呪力に一番端の部屋に当たりを付け、
ドアを開けると目当ての呪霊が壁を破壊し外に逃げようとしていた

いつもなら追いつめなくても向こうから寄って来るが
まだ昼間で匂いも弱く、やたらと怯えている呪霊は
逃げたくて仕方ないように見える

「ケケケケケッ」

『…。』

すでに建物から飛び降り、
嘲笑いながら逃げていく呪霊

追えるほどの体力も戻っていないし
鎮痛剤の効果も落ち、腹部には痛みが走り出した

仕方なく、かなりのスピードで逃げていく呪霊を
狙いを定めるように手を伸ばし捉える

『帰っておいで。』

術式の対象を自分に変換し
遠く離れた呪霊を強引に引き戻す

抵抗しようと掴んだ木も岩も全部巻き込んで
近くまで戻ってきたところで通常に戻し、今度は地面に叩き付けた

ふと下に待機していた五条君と夏油君、補助監督の人に気付く
落ちてくる岩に潰されそうだった補助監督を五条君が助け
特に怪我もなさそうだったので
逃がさないよう術式は解かないまま
下の階に居た柳井さんと合流し建物の外へ移動した

『手荒くてごめんなさい。大丈夫ですか？』

「い、いえ。学生に助けてもらったので平気です。」

『ありがとう、五条君。』

「どういたしまして。」

止めは柳井さんに任せて
スーツの土埃を掃っている補助監督の元へ向かい謝罪する
危うく逃がしそうになったが帳は上がり、無事任務は達成した

帰りの車の準備がかかるため
瓦礫処理の様子を見ながら
だらだらと3人で3文字縛りのしりとりをして過ごした

『マカオ』

「オカマ」

「マリオ」

『…オモチ』

「”お”で3文字にするのズルくね？」

『”お” と ”ま” しか回して来ない君たちのせいでしょ。』

「もう先輩の負けね。この後家に遊びに行っていい？」

『嫌だよ。なんで？』

「傑の呪霊使ってドッジボールしようよ。」

『ここでも出来るじゃん。今やろ。』

「傑、手頃なのない？丸っこいの。」

「やめてくれ。君たちの術式でドッジボールなんかしたら私の呪霊がミンチになる。」