チューベローズの初恋【呪術廻戦】 (ページ16)

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「どうしたんだろうね香月先輩。セクハラでもされたのかなー？」

「いや。先輩が夜蛾先生に渡した呪具…、たぶん特級呪具だよ。あの学長代理、何か企んでたんじゃないかな、」

両校の生徒は指示があるまで待機するよう言い渡され
暇を持て余しながら各自が自由に過ごす

うちの3年は久しぶりに香月先輩の術式を見れたと興奮し
向こうの２、３年は問題行動だと憤っている

問題を起こすのも巻き込まれるのも嫌いそうな人が
なぜあんなことをしたのかずっと考えていた
あの特級呪具の正体、自分の術式の不自然な違和感、
久しぶりに負った傷を眺めながらもう考えるのも面倒になり
未だに震えている京都校の３年のところへ足を運んだ

「お前、なんか知ってんな。」

「っ…なにがっ……何を言っている！？」

頭を掴んで顔を無理やり上げさせる
周囲はざわついて咎める声が聞こえるがどうでもいい

「お前の所の学長代理、それからお前、なに企んでんの？」

「ッ知らない！俺は何も！……ただ、…ｯ」

「…。」

「五条との個人戦は一斉攻撃をしろと言われただけで…っ」

「無駄でしょ。そんなことで俺に勝てるなんて１㎜もありえない。」

「せ、先生がっ…術式は失敗するからって…」

「はあ？」

馬鹿すぎる作戦に笑ってやりたいが
実際さっきの術式は失敗した、というよりさせられた感覚に近かった

―そういうことか、
雑に散らばっていた思考が何とか埋まっていく
下らない企みがぼんやりとではあるが分かってきた

あの学長代理、昨日からやたらと自分に敵意を向けていた
先輩のことで理由も分からないままイライラして
京都の３年に八つ当たりしたからだと思っていたが
どうやら間違いだったらしい

「悟、なにか分かったかい？」

「ああ。」

「それ、治してあげよーか？」

俺の右肩を指さし珍しく治療を申し出てくる硝子
確かに血はまだ止まらないし
制服には穴が開いたし、地味に結構痛い

そうしてもらおうかと上着を脱ごうとしたが
ふと先輩の顔が浮かび手が止まる

久しぶりに傷を負った
腹は立つし鍛え上げた自慢の体に傷が残るのは論外だが

鈍い痛みが響くたびにあの光景を思い出し不思議と気分がいい

『 ―うちの後輩に何したの？― 』

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「いい。そのうち治るだろ。」

「あっそ。」

「変なやつだな。顔ニヤけてるぞ？」

「ほっとけよ。」