今日:37 hit、昨日:1 hit、合計:24,601 hit
小｜中｜大
55 ページ7
「私って泣いたらそんなに手がつけられないのかな」
和也の欲しかったゲームを買い終わったあと、２人で駅前の喫茶店に入った。
スマホでゲームをやっていた和也が顔を上げて、私を見る。
「なんで？」
「大野くんにも、翔ちゃんにも、泣いたらどうしたらいいのか分かんないって言われた」
「んな泣いてんのかよ」
「笑い事じゃない、！」
「逆に聞くけど、お前が泣いたぐらいで俺が戸惑うとでも思った？」
明らかに試してくるみたいな和也の視線に、
つい目を逸らす。
あぶないあぶない。
忘れるとこだった。
「和也、こないだ言ってたことだけどさ、」
「やっとかよ」
話を切り出した途端、和也はスマホをしまって。
頬付きをして、首を傾げた。
「・・・待ってたの？」
「そりゃあね」
「・・・ごめん」
「それであなたは、俺が本気だと思った？それとも嘘だと？」
「なんでそんなこと聞くの・・・」
「さぁね。聞きたくなった。」
「分かんないから、聞こうと思った」
「じゃあさ、こないだの告白が嘘だとして、今本気だよってまた嘘ついたらお前はどうするわけ？」
「そんな、分かんないよ。分かんない・・・」
私は、そんなに器用でもないし。
敏感でもないし。
和也の一挙一動みたところで、なにも分からないよ。
「ごめん」
「・・・なんで和也が謝るの」
「怖くなった。告白したこと、後悔しそうになるぐらいには。怖かったずっと」
「・・・、」
「俺は、多分誰よりもお前のこと分かってるつもりだからさ。知ってる分、怖いんだよ色々」
誰よりも。
きっと和也は、確かに、誰よりも私を知ってるかもしれない。
『私、このままお母さんに会えずに大人になるのかなぁ』
和也は、こういう話を聞くとき。
急にすっと静かになる。
『・・・いいんじゃないの。会えなくても』
『言ってみただけ！お父さんはー、年に３回ぐらいしか会わなかったから、お父さーんって感じしないけどさ。お母さんには、もう１回ぐらい会いたいなぁ』
『ふーん』
『その時は、怖いから和也も一緒ね！』
「嫌だよそんなん」って和也が笑って。
先にジャングルジムから降りて。
「あー今日はピンクかぁ」って私を見上げて。
『さ、最っ低！！！』
『嫌なら黒パンはけや』
『見ないで！！！見る方が悪い！！』
なんでも、和也は私を知っていて。
何度も、私を救ってくれている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 183人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ネズム(プロフ) - 鮎さん» はじめまして！初コメです！嬉しいです！ありがとうございます！そして何より、拙い文章ながら試行錯誤してかいておりましたので、鮎さんがこれを読んでいろいろ思っていただけただけで、大満足でございます。これからもよかったら時々顔を出して読んでいってください！ (2017年11月6日 22時) (
レス) id: ea39950ee4 (このIDを非表示/違反報告)
鮎 - はじめまして。このお話を読んで泣いてしまいました、私も最近恋を諦めたばかりで心で何度も唱えてることや行動などが夢主ちゃんと全く同じで共感してしまいました。文章力もあってとても話に入りやすかったです。作者様のペースで更新頑張ってください！ (2017年11月5日 0時) (レス) id: 9575d97aba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ネズム | 作成日時：2017年11月4日 12時
