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あのチョコレートを渡したことを後悔したこともあったけど。
それでも私は、彼がくれた何か大事なものを見失いたくなくて。
「いってきまーす」
いつもみたいに家を出たら、自宅の前で待っている自転車。
その部座席に座って登校するのも今日が最後だと思うと、なんだか寂しい気もしてきた。
「和也ー」
「・・・」
「大学でもよろしくね」
「言われなくても」
サーって頬に当たる風が気持ちい。
今日は、卒業だ。
「Aー！」
「ももちゃーん！」
ももちゃんと抱き合って、「寂しいよー！」なんて言って。
「・・・まあ、学部は違えど同じ大学ですけどね」
「大学生でも仲良くしてね、ももちゃん」
なんて。やっぱりまた抱きしめあって。
先生のながーい話を聞いて。
泣いちゃう生徒もいて。
卒業証書をもらって。
やっぱり卒業式で泣いちゃう生徒がいて。
でも私はどうしても、泣けなくて。
みんなが写真を撮ったりしてる中、階段を駆け上がって。
思い出ばかりの、あの部屋を訪れる。
いつも私が座ってた定位置に座ると、いつものあの、景色が見えてくる。
「翔ちゃーん！」
「ちょ、相葉ちゃん！」
「A！」
「いたっ」
「あー！もうやだー！」
「俺なんて体育委員長だぞ！」
「俺は生徒会長だあ！」
「はあっ？！」
「なにそれー！」
「ちょっと、領収書出してないの誰ー」
「おいA書記！」
「俺のチャリのる？それとも走る？」
「俺はももちゃんが好きだー！」
「・・・あーあ、もうこんな時間だあ」
「ちょっと誰！窓開けっ放しにしたの！」
「Aちゃん」
「A」
ぷつっと現実に戻って。
声のする方を見たら、和也がドアに寄りかかって立っていた。
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ネズム(プロフ) - 鮎さん» はじめまして！初コメです！嬉しいです！ありがとうございます！そして何より、拙い文章ながら試行錯誤してかいておりましたので、鮎さんがこれを読んでいろいろ思っていただけただけで、大満足でございます。これからもよかったら時々顔を出して読んでいってください！ (2017年11月6日 22時) (
レス) id: ea39950ee4 (このIDを非表示/違反報告)
鮎 - はじめまして。このお話を読んで泣いてしまいました、私も最近恋を諦めたばかりで心で何度も唱えてることや行動などが夢主ちゃんと全く同じで共感してしまいました。文章力もあってとても話に入りやすかったです。作者様のペースで更新頑張ってください！ (2017年11月5日 0時) (レス) id: 9575d97aba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ネズム | 作成日時：2017年11月4日 12時
