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叱ってくれる親は私にはいなくて。
大野くんが連れ帰った私を見た、目を腫らした愛佳さんは。
何も言わなかった。
朝が来て。
私がベッドから出てこなくても。
やっぱり、何も言わなかった。
まだくしゃくしゃのスカートをとって。
それを履く。
こんな、放課後に。
私は学校へ行く。
通い慣れた校門。
通い慣れた昇降口を抜けて。
階段を登って。
生徒会室には、文化祭が近いというのに。
翔ちゃんと、その他３人ぐらいしかいなくて。
・・・まあ、文化祭実行委員長のくせにこんなになった私が言うことでもないけど。
扉を開けたら、みんなの視線が私に集まって。
「あ」って空気になる。
「・・・え？」
「・・・翔ちゃん」
「なに、してんの」
「翔ちゃん、ちょっと来て」
戸惑い気味な翔ちゃんを呼び出して。
人気のない廊下で向かい合う。
「翔ちゃん、湊ちゃんに言ったでしょ」
「・・・えっ」
「私のこと」
「・・・、え、」
「私が、両親に捨てられたこと」
「・・・、いや、」
「いいよ別に。気にしてないし」
「・・・」
俯いた翔ちゃんが、「・・・ごめん」って呟いて。
「だからいいって」
「いや、俺も言うつもりなかった。でも、あの、えっーと・・・」
「もういいよ」
「いや聞いて！あの、俺が、なんつーか・・・こう。弱みを、握られたまでいかないけど」
「・・・」
「むしゃくしゃしてて！！その、Aと、二宮のこと、とか」
「・・・なんで和也？」
「あ！えーっと、・・・。・・・いや、ごめん。マジで。誰かにこう、共感してもらいたかった、んだ。俺」
「・・・そっか。なんかよく分かんないけど、翔ちゃん最近、私のこと避けてたでしょ。昨日の黒板の件で、言ったの翔ちゃんかなーって。なんとなく思った」
「え！いや。・・・避けてたっつーか・・・。言っちゃってから、気まづくなった。ほら、昨日の黒板の件も・・・」
「昨日、夜、一番に愛佳さんから電話もらったの翔ちゃんのはずなのに。連絡一つくれなかった」
「あー・・・、えっーっと・・・。あぁ。そっか。うん。そうだよね」
別に、私に嫌がらせをしたのが誰だっていい。
私がこうして。
見えないしがらみから目を背ければ。
見たくないものは、見なければ。
ずっとそうしてきた。
別に今更、同情がとか言っていても。
優しさに素直に答えられない私に、返ってくるものはいつも一緒だ。
また一つ、思い出に蓋をして。
笑顔の私に、戻ればいいだけの話なんだ。
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ネズム(プロフ) - 鮎さん» はじめまして！初コメです！嬉しいです！ありがとうございます！そして何より、拙い文章ながら試行錯誤してかいておりましたので、鮎さんがこれを読んでいろいろ思っていただけただけで、大満足でございます。これからもよかったら時々顔を出して読んでいってください！ (2017年11月6日 22時) (
レス) id: ea39950ee4 (このIDを非表示/違反報告)
鮎 - はじめまして。このお話を読んで泣いてしまいました、私も最近恋を諦めたばかりで心で何度も唱えてることや行動などが夢主ちゃんと全く同じで共感してしまいました。文章力もあってとても話に入りやすかったです。作者様のペースで更新頑張ってください！ (2017年11月5日 0時) (レス) id: 9575d97aba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ネズム | 作成日時：2017年11月4日 12時
