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「ねーねー和也ー」
「あ？」
「おなか空いた」
すごい速度でなんかのボタンを連打する和也が、なんかの敵を倒して。倒されて。
舌打ちして、下のコイン受けに１００円玉を入れる。
「こんな時でも腹減んのかよ」
「へるよ〜」
「俺、金ないんですけど」
「そのゲームに費やしすぎなんですけど」
「うるっさいなぁ」
「和也がいるからお腹空くんだよー」
暗い、ガヤガヤしてるゲーセンの室内で。
小さい椅子に二人で、背中合わせで座って。
多分これだけで、ぜーんぶ和也には伝わって。
「じゃあ結婚でもするか」
「できちゃうねぇ、私たち」
「お前は大野が好きだけどね」
和也が、すごいスピードでボタンを連打して。
私はその横顔を直視することができなくて、顔を背けた。
和也は。
私を好き？
私はその答えを、知ってる。
こんなに、ぬくもりだけをもらっておきながら。
見えないふりをする。
こんな自分が。
私自身、そして和也も。
大嫌いなんだよ。
「何突っ立ってんの」
「・・・だって、ここってさ、・・・」
「別に取って食ったりしねぇよ、お前のこと」
ピカピカとネオンが眩しい街。
の中心にある、ホテル。
受付の人の顔は見えなくて。
私たちがこんな制服着てるのも、知らんぷりされた。
「・・・こういうとこってさ、いいのかな、あの、」
「はい。ここ座って。」
ベッドの淵に座ってる和也が、ぽんぽん、って隣を叩いて。
私は恐る恐る、一歩一歩近づいて。
隣に座る勇気がなくて、和也の前に立ったら。
座った和也が私を見上げて、手を取った。
「俺がさ、どうにかするからさ」
「・・・、」
「Aのこと傷つけること、全部、どうにかする」
「・・・ダメだよ」
「俺がしたいの」
「・・・」
「お前が傷つくのただただ見てらんないよ、俺」
「・・・でも、嫌なの。嫌だ。」
座って、私を見上げる和也の首に腕を回すと、
和也が倒れ込んで。
二人でベッドに寝転がる。
「・・・お人好し」
「・・・違うもん」
和也は、薄く笑って。
私の頬を撫でて。
私の頭を掴んで、和也の胸元に抱き寄せた。
和也の心臓の音が。
今の私の、拠り所で。
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ネズム(プロフ) - 鮎さん» はじめまして！初コメです！嬉しいです！ありがとうございます！そして何より、拙い文章ながら試行錯誤してかいておりましたので、鮎さんがこれを読んでいろいろ思っていただけただけで、大満足でございます。これからもよかったら時々顔を出して読んでいってください！ (2017年11月6日 22時) (
レス) id: ea39950ee4 (このIDを非表示/違反報告)
鮎 - はじめまして。このお話を読んで泣いてしまいました、私も最近恋を諦めたばかりで心で何度も唱えてることや行動などが夢主ちゃんと全く同じで共感してしまいました。文章力もあってとても話に入りやすかったです。作者様のペースで更新頑張ってください！ (2017年11月5日 0時) (レス) id: 9575d97aba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ネズム | 作成日時：2017年11月4日 12時
