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熱い肉塊から埋めていた顔を上げると、体の半分はおぞましく潰れていたとはいえ辛うじて残っていた。


すごい生命力だ、まだ息だけは残っている。


胸は上下に動いていないものの、何となく喉笛から小さく何かが聞こえる。


その他は、分からないけれど。


彼が私を庇って落ちた場所は丁度爆発して瓦礫となった塔の一部で上手いこと頂上から認識出来なくなっていた。


とはいえもう時期ここも崩れる、その前にも聖が、いや、理一が来てしまうかもしれない。


早くここを抜け出さないと。


「……、」


「!」


今何かが聞こえた、瓦礫の外へと単身抜け出そうと足で踏ん張っている下半身とは裏腹、後ろへ振り向く。


確かに彼から何か聞こえた。


彼の言葉を聞きたくて踵を返す、その反動でこつん、と小石が何処かで鳴った。


「たっくん……?」


返事はない、でも確かに今の音は彼からだった。


もう一度呼びかけてみるも、掠れた呼吸音がひゅーひゅー流れるばかりでどうしようもない。


私は彼の潰れてしまった右半身の手の甲にそっと口つけた。


いってらっしゃいと、聞こえた気がした。


その言葉は私の妄想かもしれない、彼のどこかの記憶かもしれない、けれど私にはそう聞こえる他に何も聞こえなかったのだ。


その言葉の真実は定かではない。


けれど、それだけで十分だったと、彼の満足そうな顔を見れただけで幸せなのだと。


私はもう一度彼に背を向けて瓦礫の山を強く足踏みしていった。

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久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - 517さん» 517様、閲覧及びコメントありがとうございます!長かったでしょう(苦笑)そう言って頂けるととてもありがたいです。更新は停滞気味ですが気長に待って頂けると嬉しいです! (2021年3月31日 22時) (レス) id: 6e12f91009 (このIDを非表示/違反報告)
517(プロフ) - とっても面白くて最新話まで一気に読み進めちゃいました! (2021年3月31日 1時) (レス) id: a380db26d5 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - はい。楽しみにしてます。 (2020年10月17日 8時) (レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)
久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - ひかりさん» 閲覧及びコメントありがとうございます!SCPご存知の方中々いらっしゃらないですよね……。SCPで何か書けたらいいなぁと思っています(笑)改めて、ありがとうございました! (2020年10月16日 23時) (レス) id: 6e12f91009 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - こんなところでSCPを嗜んでいる人に出逢えるとは思ってもいなかった (2020年10月16日 22時) (レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:久坂朧@三色団子と朧は神 | 作成日時:2020年3月31日 9時

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