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花流を抱きしめて落ちていく、真っ逆さまに、ヘリだけがこちらを見ていた。


頭を強く守るように抱えると、灯火が消えかかっている彼女は息苦しそうにもぞもぞと動く、それがとても愛らしかった。


目の前には瓦礫の山があって、落ちても僕はまず助からないだろうと覚悟した。


全く、どんな時も彼女は僕を置いていった。


彼女は気付いてないけれど、僕よりも頭が良かった。


誰よりも優しかったし、誰よりも正直であろうとした。


その生き様は僕を突き放していった、追い付くのには時間がかかった。


今度は僕の番だ、僕の番だ。


僕の番。


花流にはもう会えないだろうし、もう二度と再会することも叶わないだろう、笑顔すら見れない。


だが守ることなら、今、誰よりも僕は彼女を守れる、もう誕生日の後悔はしない。


肺が水で埋まった様な日のことは忘れない、誕生日ケーキの味が分からなくなってしまった日。


泣いた日。


クリスマスの日、僕は花流の好きだった江國香織のデュークが可愛い犬から変身した様に素敵な男になれただろうか。


僕は花流の心に一生住んでいけるだろうか。


僕の補正は残り2つ。


彼女の補正も残り2つ。


ああ、頼む、頼む神様、僕はお前を信じたくは無かったが、僕の最初で最後の友人には変えられない。


どうか、どうか花流を助けて欲しい。


助けて。



頼む到さん、最後の最後まで僕は君を信じたことは無かったけど、花流だけは、花流だけは。




花流だけは助けて。






「到さん、これが最後だッ!!!」
















彼女に、僕の寿命と記憶を渡してやって欲しい



僕が今までどんな風に生きてきたか、どんなことを思ったか、少なくとも花流の様な綺麗な生き方は出来なかったが。







それでも














あの時僕は確かに満たされた


















心から

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久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - 517さん» 517様、閲覧及びコメントありがとうございます!長かったでしょう(苦笑)そう言って頂けるととてもありがたいです。更新は停滞気味ですが気長に待って頂けると嬉しいです! (2021年3月31日 22時) (レス) id: 6e12f91009 (このIDを非表示/違反報告)
517(プロフ) - とっても面白くて最新話まで一気に読み進めちゃいました! (2021年3月31日 1時) (レス) id: a380db26d5 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - はい。楽しみにしてます。 (2020年10月17日 8時) (レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)
久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - ひかりさん» 閲覧及びコメントありがとうございます!SCPご存知の方中々いらっしゃらないですよね……。SCPで何か書けたらいいなぁと思っています(笑)改めて、ありがとうございました! (2020年10月16日 23時) (レス) id: 6e12f91009 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - こんなところでSCPを嗜んでいる人に出逢えるとは思ってもいなかった (2020年10月16日 22時) (レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:久坂朧@三色団子と朧は神 | 作成日時:2020年3月31日 9時

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