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「そして彼女がいない以上どうすることも出来ないが、……そうでもないみたいだ」
「え……?」
塔を見ると、坂口さんの動きが鈍ったのを視認して、何かに動揺したことを悟った、咄嗟に下を見ると、肩に兎を乗っけていつかの黄金の鳩に乗った巴さんがいた。
「巴さん……!」
「少年、私に何かあったら、後は頼むよ」
「巴さんッ!」
彼女はそのまま飛び去って行く、上空へと羽を広げた彼らはいつになく勇敢だった。
ああ、巴さんは死ぬ気だ。
死ぬ気で彼を止めるつもりだ。
「俺も動かねばな、彼女はこのまま突っ込めば塔が崩壊することを理解しているだろうから屋上から忍び込む心算だろう。
陽動には俺が最適だ」
「赤井さん……」
「ボウヤ、君の友人達はどうしたんだ」
「もう避難が終わってるよ……爆発してしまえば逃げ場なんて何処にも無いけどね」
「そうナーバスになるな、……死ぬんじゃないぞ」
分かってる、そういって俺は屋上の扉を閉じた、彼は最後まで援護に回る心算だろうし、彼女は死ぬ気で彼を抑える心算なのだろう。
彼女の目の奥にあった闇は相当だった、肩に乗っけたたっくんに頬擦りされていた彼女の目元は赤かった。
メガネの電源を切る、そんな彼女の姿を脳裏見たのはそれとほぼ同時だった。
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久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - 517さん» 517様、閲覧及びコメントありがとうございます!長かったでしょう(苦笑)そう言って頂けるととてもありがたいです。更新は停滞気味ですが気長に待って頂けると嬉しいです! (2021年3月31日 22時) (レス) id: 6e12f91009 (このIDを非表示/違反報告)
517(プロフ) - とっても面白くて最新話まで一気に読み進めちゃいました! (2021年3月31日 1時) (レス) id: a380db26d5 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - はい。楽しみにしてます。 (2020年10月17日 8時) (レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)
久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - ひかりさん» 閲覧及びコメントありがとうございます!SCPご存知の方中々いらっしゃらないですよね……。SCPで何か書けたらいいなぁと思っています(笑)改めて、ありがとうございました! (2020年10月16日 23時) (レス) id: 6e12f91009 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - こんなところでSCPを嗜んでいる人に出逢えるとは思ってもいなかった (2020年10月16日 22時) (レス) id: 2b9098a683 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:久坂朧@三色団子と朧は神 | 作成日時:2020年3月31日 9時