光に熔ける 【名探偵コナン】

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石川タクside


僕を肩に乗せて全速力で走る彼女の苦しそうな顔を見て、そう思ってしまった。


生前から彼女は体力もなければ意志の強さも無い、非力な奴だった。


それがこんなことになって。


僕は彼女の頭上の数字を見やる、バグったようにコロコロと変わるそれを見てこう念じた。


裏時計───到さん、八千矛さん、力を貸してくれ。


すると彼女の時計はその動きを止め、表示される青い数字がガタン、と下に崩れ落ち、残ったのは黒い数字で、倍速で減り続ける時間を見て驚愕した。


文字通り、驚愕してしまった。


そこには彼女の寿命が計算しても持ってあと数時間しかないことを示していたのだ、ああ馬鹿、だから自己犠牲は嫌いなんだ。


大体進む速さは9倍速くらいだろうか、此奴、花流の癖して、8人もの命を救いやがった！


救い過ぎだ馬鹿、そんなんしたらお前の寿命の取り分が減るだろうが……！


彼女の空の補正はあと5つ、恐らく3割の俺が瀕死状態になるくらいにはDOPPELは強い、最悪元の体を捨てるとしても俺が生きていけるかどうか。


俺はもう2つしかない、全力で彼女をサポートするにしてもどうすればいい。


最悪俺の寿命も渡すか？


でも10年も無いぞ、渡したとしても彼女が生きれるのは精々半年とちょっとくらいだろ？


彼女の補正で何とか伸ばせないか？


助けたやつをこの騒ぎに乗じて殺、せないか……。


今、とんでもないことを考えてしまった、俺は彼女が愛した人達を殺そうとした。


……結局、どうすれば良かったのだろう。

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