夢に彷徨う 【名探偵コナン】

318 家族 ページ30

「今日事情聴取するのは俺じゃなくて、長官だよ」


「それは、何となく分かった、でも何で緑川さんが！？」


もしかして、警察官だった時に何か関係のあることでもあったの、と聞くと、バツが悪そうに目を逸らした。


「いや、それには関係無いよ」


関係が無い？


何らかの事情で巴さんのことを知っているのか、そもそも何で警察庁の長官が此処に直々に来ているんだ？


他の人間にバレては行けない理由があるのか、それともシュレーディンガーの巴さんとの取引なのか、それとも……。


考えれば考える程、答えから遠くなる様な気がした、俺は取敢ず彼を見る、悪い人では無さそうなので大丈夫だろう。


「……コナン君、失礼ですが彼は」


と、隣に居た諸伏警部が聞く、


「緑川唯さん、親戚の兄ちゃんの斜め前に住んでるんだ！」


「……どうも」


緑川の彼はそう言うが、隣の警部は黙り込んだままだった。


「諸伏警部、如何したの？」


「…………すみませんね、弟に似ていたもので」


「へぇ、諸伏警部、やっぱり弟が居るんだ。


どんな人？」


「ええ、私に憧れて警察官になったのですよ、今はもう連絡が取れていませんが……」


「如何して？」


「さぁ、そうしないといけない事情があったのでしょう」


大体連絡が取れなくなるのは相場が決まっている、警察官になったのなら、亡くなったか、そういう部署に入ったのか……。


そういえば、緑川さんは目元が少し諸伏警部に似ている、真逆な。


「さて、私以外の人間は早々に退散して貰おうか」


「え、俺もですか」


「嗚呼、俺の経験上これは多分相当危険な話だ」


そろそろ巴も起きるだろうからね、と言いながら、彼は俺達を追い出してしまった、危険、とは何なのだろう。


疑問が残る中、俺は緑川さんに呼ばれ、病院の人気の居ない所に連れられた───。

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