299 八年 ページ11
「彼女は5歳の時からとても優秀でした。
まるで1人の大人を相手しているのと同じ、いや、それ以上だった、彼女は自ら囮になって捜査の前線に立ち、この班の頭脳として動いた」
マジかよ、それが本当なら巴さんは何もんだ。
俺は5歳の巴さんを思い浮かべてみた、あんな綺麗な人なんだから相当可愛いに違いないだろう。
そんな子が、潜入捜査。
「結果、莫大な被害額と1210人の被害者を出してしまいましたが、被害は本当にそれだけで済んだ。
ですがその被害で、梶木の同僚が亡くなりました」
「そんな……」
「正直弱った梶木を見ていられませんでした、ですがその後追い討ちを掛ける様に彼女の母は心臓発作で亡くなった」
「…………」
「ついにはカジキも巴ちゃんを置いていきました、私は如何することも出来ませんでした。
何故って、カジキは公安警察なのにも関わらず、メディアに流れてしまった……取り残された彼女は戸籍を変えるしか、己を護る術が無かった」
あのまま生きていたら巴ちゃんもきっと死んでしまう、私はカジキの葬式以来、彼女の姿を見ていないと告げる。
「正に邯鄲の夢、槿花一日の栄の様なことでした」
邯鄲の夢、一時だけの夢。
本当の巴さんが生きていたという夢だと、彼が言いたいのが分かった。
確かに梶木浩の娘となれば、恨みからの物理的な傷を受けるだろう、その点戸籍を変えるというのはとても有効的で、且つ唯一対処法だったろう。
だが、あの英雄の様な父親を奪われた巴さんはきっと、悔しかっただろうな。
寂しく、無かったのだろうか。
「今は知りませんが、警察庁の現長官の非公式の協力者として活動していたらしいです」
とある刑事を救出した時の映像がテレビで流れていましたから、と、少し喜ばしそうに俺達に告げる。
少しでもあの時疑った自分が馬鹿だった、巴さんは恐らく今でも公安の協力者だ、じゃないと態々俺にあんなこと言わない。
俺達は鏡池に急ぐ、時刻はもう12時を回っていた。
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久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - さちさん» さち様いつもありがとうございます!出会っちゃいましたね、2人……。そう言って頂けるとこちらも励みになります、改めてありがとうございました!! (2019年10月5日 21時) (レス) id: 9224d831df (このIDを非表示/違反報告)
さち - 何度も読みに来ちゃいます。おもしろいです。ヒロとゼロの邂逅。続きが楽しみです。よろしくお願いします。 (2019年10月4日 19時) (レス) id: 5f335610e5 (このIDを非表示/違反報告)
久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - さちさん» さち様いつもありがとうございます!出ましたね高明さん(笑)これからも頑張って参りますのでよろしくお願いします!! (2019年9月10日 17時) (レス) id: 9224d831df (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろいです。高明さん出てきましたね。続きが楽しみでしかたないです。よろしくお願いします。 (2019年9月10日 12時) (レス) id: a4eca54f61 (このIDを非表示/違反報告)
久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - 水城紗綾さん» 水城様!いつもありがとうございます!はい、更新頑張らせて頂きますので、是非とも今後も楽しみにして頂ければと思います!改めて閲覧及びコメントありがとうございました! (2019年9月8日 19時) (レス) id: c1dc633bc5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:久坂朧@三色団子と朧は神 | 作成日時:2019年9月6日 18時