夢に彷徨う 【名探偵コナン】

289 噂話 ページ1

「巴ちゃん、鏡池って知ってる？」


とある日の午後、私が殆どの日を此処で過ごすようになってからは、私の話し相手は何時も梓さんだった。


萩原さんは何やら立て込んでいるらしく、最近は来ない、と言っても会いには来る、現に私の隣で仕事をサボってコーヒーを飲んでいた。


私が何を言えど、1日1回巴ちゃんと言って離れない、少しウザったいのでもうスルーすることにしたのはタイムリーな話である。


梓さんが目の前できゃーっ、とはしゃいでいたのは私は見なかったことにした。


「鏡池？」


「あ、俺知ってる。


確か長野県の観光スポットだろ？」


詳しいのか聞くと、最近何やら噂になって来てるのだそう。


「噂ですか」


「うん、何でも異世界に繋がってるとか」


へぇ、ファンタジーだね、と笑う萩さんと梓さんに息が止まる、異世界？


「何故そんな噂が？」


「初めは観光客の証言だったんだ、人影が池に飛び降りたっていう通報が何度か入ったらしくて」


念の為監視カメラをつけて、誰かが飛び降りる姿は確認された、にも関わらず、写ってたのに顔は特定出来ず、しかも行方不明者は居ない。


「人影？」


「うん、1度警視庁でも持ち込まれて調査済み、最新鋭の科学技術を使えど特定不可能」


「それで、彼処には神社があるから、神隠しだったり、異界への門とか何とか言われてて」


妙な胸騒ぎがした、長野県、高明さんがいる所だ。


でももしかすると何かあるかもしれない、私は家に帰ると少しだけ希望を込めて、荷造りを始めた。

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