284 小説 ページ45
誰の本、と彼は聞く。
私は怒ったそれに手を伸ばし、先程の頁に本を戻しながら坂口安吾と答えると、彼は目を輝かせた。
「近代文学好きなの!?」
「うん、もう結構網羅してると思うけど」
「坂口安吾って、“不連続殺人事件”の人だよね!?」
「よく知ってるね、私は基本無頼派の本しか読まないけど、……。
わざわざ君が、数少ない坂口安吾のミステリーを口に出すということは、そういう類が好きなのかな?」
目を爛々とさせて頷く、彼の話を聞いていると話はシャーロック・ホームズの話に上手く切り替わった。
そういえばシャーロキアンだっけか、道理で饒舌になる訳だ。
しばらく経って、彼は突然口を止める、
「ごめんなさい、ボク、シャーロック・ホームズの話になると周りが見えないって怒られるから……」
「いいよ、話聞いてて楽しいから」
それにシャーロック・ホームズシリーズには手を出してないからもっと話して欲しいな、と言うと彼は嬉しそうにその続きを話し始めた。
「で、その台詞が───」
「へぇ、てことは───」
そんな時間が何時間も続いて、いつの間にか6時、時計を見て顔を少し青くした彼はもう帰らないと、と帰り支度をする。
「そうだね、引き止めて悪かったよ」
つい夢中になって、と言うと、彼も楽しかったと朗らかに笑う、何だか先程よりも足取りが軽く見えた。
「巴さんまたね!!」
そんなこんなで、私は主人公との接触に成功した、本の話は中々他の人とは出来ないからとても充実したと思う。
置いてけぼりにされた本を片手にお金を払う、少し放置していたので冷たい、筈なのに、大切な彼から貰ったそれは何故か熱を持っている様にも感じた。
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久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - 水城紗綾さん» わざわざありがとうございます!そうですね、この後また団子を食べている描写があるので十二分よりかは十分とかの方が良いかもです、本当にありがとうございます! (2019年8月30日 22時) (レス) id: c1dc633bc5 (このIDを非表示/違反報告)
水城紗綾 - 度々すみません!「267 団子」の一行目の《十分》が《十二分》になってます。間違い……なのかな?と思ってコメントさせてもらいました。更新お疲れ様です! (2019年8月29日 9時) (レス) id: fd3bd08589 (このIDを非表示/違反報告)
久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - 水城紗綾さん» 閲覧及びコメントありがとうございます!ありがとうございます、本当に内容はそんなに進んでないんですけどね(笑)とても励みになります、頑張りますので是非ともよろしくお願いします!! (2019年8月28日 15時) (レス) id: 9224d831df (このIDを非表示/違反報告)
水城紗綾 - 更新お疲れ様です。もうなんか、更新速度が速すぎて……。本当に尊敬します。内容も面白いですし。これからも頑張ってくださいね。*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・* (2019年8月28日 12時) (レス) id: fd3bd08589 (このIDを非表示/違反報告)
久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - さちさん» 閲覧及びコメント毎度ありがとうございます!!本当に励みになります、度々ありがとうございます!!頑張ろうと思いますので、是非とも宜しくお願いします!! (2019年8月23日 21時) (レス) id: 9224d831df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:久坂朧@三色団子と朧は神 | 作成日時:2019年8月15日 23時