276 失踪 ページ36
「じゃあさっさと失せろ。
私死体愛好家なの、組織内でも有名でしょう」
彼女が最後まで言わずに男は走り去る、見ていた他の見張りも彼女が居ない方向に血相を変えて走り去って行ったのが、車2台の隙間から見えた。
「……ロ、イ」
「シェリー、逃げましょう」
監視カメラは全部ダミーを流してあるから安心して、そう言って恐ろしいことをさらりと言ってのけるロイは、私のすくむ足を余所目に右手の手を引いた。
「何で」
「言ったでしょう、組織を裏切る時は私が手伝うって」
確かにそう言った、4年前のあの日、ロミオとジュリエットに出てきた様な、仮死状態にするお薬の針を渡した時。
彼女は確かに、あの時そう言った。
「私は皆とは違って程々を知ってる、シェリー、貴方もそれを知る権利がある」
「でも」
「シェリー、もう自由になっていいんだ」
『志保、私達もう自由になってもいいわよ』
何時か言ったその言葉、大切な記憶が棚から引き出された。
「……お姉ちゃんは死んだわ」
「……」
「貴方は大切な人を守りきった、でも私は、」
「シェリー」
「大切な姉1人すら守れなかったッ…………!!!!」
「シェリー」
「私はシェリーじゃない!!!」
宮野志保よ、貴方の様に強い訳じゃない。
「ただの人間なの……」
酷い雨が体を打ち付けた、ロイも傘は持っていないので一緒にびしょ濡れである、私はそんな中、烏の様に黒い曇天の下、泣き崩れた。
「志保、大丈夫」
「ひぐっ、やだっ、おねえちゃんっ、」
「…………志保、貴方は未だ1つ、私に貸しがある」
「『忘れないで、私が居ること』」
そう、年が合わないが、お姉ちゃんによく似た、聖母の様な笑顔で、言った彼女はそれっきり、姿を見せることは無かった。
阿笠博士に引き取って貰い何ヶ月か経った、工藤君の知り合いである緑川という男は、藤原巴という女性を探しているらしいのだが。
持ってきた写真に写る顔は、金目をしていること以外はロイそのままだった、まあその話は又追々。
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久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - 水城紗綾さん» わざわざありがとうございます!そうですね、この後また団子を食べている描写があるので十二分よりかは十分とかの方が良いかもです、本当にありがとうございます! (2019年8月30日 22時) (レス) id: c1dc633bc5 (このIDを非表示/違反報告)
水城紗綾 - 度々すみません!「267 団子」の一行目の《十分》が《十二分》になってます。間違い……なのかな?と思ってコメントさせてもらいました。更新お疲れ様です! (2019年8月29日 9時) (レス) id: fd3bd08589 (このIDを非表示/違反報告)
久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - 水城紗綾さん» 閲覧及びコメントありがとうございます!ありがとうございます、本当に内容はそんなに進んでないんですけどね(笑)とても励みになります、頑張りますので是非ともよろしくお願いします!! (2019年8月28日 15時) (レス) id: 9224d831df (このIDを非表示/違反報告)
水城紗綾 - 更新お疲れ様です。もうなんか、更新速度が速すぎて……。本当に尊敬します。内容も面白いですし。これからも頑張ってくださいね。*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・* (2019年8月28日 12時) (レス) id: fd3bd08589 (このIDを非表示/違反報告)
久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - さちさん» 閲覧及びコメント毎度ありがとうございます!!本当に励みになります、度々ありがとうございます!!頑張ろうと思いますので、是非とも宜しくお願いします!! (2019年8月23日 21時) (レス) id: 9224d831df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:久坂朧@三色団子と朧は神 | 作成日時:2019年8月15日 23時