境を跨ぐ 【名探偵コナン】

43 報酬 ページ45

「それは置いといて、いいお話しない？」


この状況でいいお話なんてないだろうと心の中で悪態を付く。


「手短にお願いします」


どうせ碌でも無い話なんだろ、と声には出さずに突っ込んでおいた。


「またまたぁー。


報酬についてなんだけどさ」


報酬。


リワードとも呼ばれるそれは、成した出来事に対して等価価値が物品等によって払われる。


しかし私達の話での報酬は、補正だって頼むことができる。


「多々良の命は」


「だーめ。


言ったじゃんか、命とかは無理だって」


「私の持っている以上の頭脳」


「グレードアップ？


ダメダメ、一応言っとくけど、それの上限無いもん」


「でも更に補正が掛かるって」


「言ったね、でもそれは飽くまで、この人と同じくらいのっていう、基準を設定した場合だよ。


ほら、君は最強の頭脳が欲しいって言っちゃったからこれ以上無いんだよ」


「……」


「ほら、無難に電子機器の扱いが最強になりたいとか頼んじゃいなよ、待つの苦手なんだよなー」


こ い つ う ざ い()


じゃあもうそれでいいですよ、と半ば投げやりに答えると、満足そうに声の主は話始める。


「オーケー、あ、今回救えたのは父親の命とその他1600名の命なんだけど、流石に多いから、一個だけだからね。


でも、凄いな、一発目の分岐点で救っちゃうのは」


それ褒めてるの、と聞くとうん、と屈託の無さそうな声で私に答えた。


結構フォローしてる心算。


「だったらさっさと切ってください」


「酷いなー、そういうのも一応査定に入るんだからね？


まぁいいけど、二つだけ。


君が救った命もそうなんだけど、その後命が保証される訳じゃないんだよ、特に原作に居ないキャラは。


居てて、本当は死んじゃうキャラは、……うーん、ある程度は死亡フラグ回避の補正が掛かるけどね。


そんなとこ」

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