境を跨ぐ 【名探偵コナン】

32 世話 ページ34

結局、大人三人は私が提案した潜入以外の良い案が見つからなかった為、話は纏まった。


私はイケ髭こと諸伏氏のお宅にお邪魔しつつ、標的である心理学の彼の近くの部屋を追々借り、接触を図ることで話は付いたのだ。


そんでもって父は私と諸伏氏との交流を深める為、二人きりでの外出を許してくれた、やったね。


あ、後おねーさんの抹茶パフェ美味しかったです。


「諸伏さん、お邪魔かとは思いますが短い間宜しくお願いします」


「いいえ、こちらこそ。


今更ですが、本当に良かったので？」


最善だったので、と言うと彼は考え込む様な素振りを見せ、掛ける言葉が見つからなかったのだろう、無言で私の頭を撫でた。


「しかし、幾つか気になることが」


「何でしょう」


「何故私を父親役に指名したのかが……」


「嗚呼、それは」


貴方が一番この辺の地理に長けているから、と答える、父の実家は此処の近くでは無く、多々良はまず人相が悪いので相手に警戒されると困るのだ。


「確かに、周辺しか連れまわしていないことが分かってしまうと対象が何らかの反応を示すでしょうね」


そして何より、諸伏景光を形作った兄がどんな方なのか見たくなって、というのは勿論秘密だ。


まあ何か在ればこちらも手の内を晒して協力してもらおうとは思っているが。


どちらにせよ、彼との親密度を高めておいて損は無いだろう。


恋愛ゲームではあるまいし、とは思うが彼は今や推しとなってしまったスコッチの兄なので、私は逃がす心算は全くないのだが。


「では、先程の力を少し貸してあげる、というのは」


「最悪彼の身に警察が干渉した場合以外で被害が起きた場合、私が率先して彼を助ける……。


謂わば二重スパイという奴ですね」


「虎穴に入らずんば虎子を得ず、ですか。


成程、では先程巴ちゃんが殆どの責任を被る、というのは」


「そういうこと、です」

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