きっとまた逢える 2 (ページ5)

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私は、自宅に帰るとすぐにシャワーを浴びた。

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自分の身体中から、櫻井さんの痕跡が、匂い立つような気がしたから。

お酒や、煙草の匂いだけじゃなくて。

櫻井さんの身体から移った、強めの柑橘系の香水や、汗。

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そして。

櫻井さん自身の、匂い。

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いつまでも今さっきまでの甘くて烈しい余韻に浸っていたいけど、もうそんな時間なんてない。

ユウさんがうちに来るまでに、それらを全て残さないように、綺麗に洗い流さなければいけない。

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頭からシャワー浴びながら、自分に問いかける。

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ユウさんに、櫻井さんとのことがバレないように…？

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そんなこと、当たり前。

久しぶりに会う恋人にわざわざ、浮気してました、なんて。

そんな気配を散らつかせられるわけがないもの。

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浮気……

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冷静になってみたら、櫻井さんにとって私とのことは、浮気としか思えないのに。

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また、ゼロから私と始めたい、なんて言われたことで、私は囚われてしまっていた。

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本気にしちゃダメ、って自分に言い聞かせてるのに。

もう私は、櫻井さんのその言葉に囚われてしまっていた。

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清涼感のあるハーブの香りの泡が、熱いお湯とともにするりと髪から滑り落ちていく。

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アロマっぽいこの香りが、私は大好き。

お気に入りの物達に包まれたことで、私はやっといつもの私に戻れるような気がした。

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もうすぐ、ユウさんが来る。

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一人でのぼせ上がって、舞い上がって。

取り返しのつかないようなことにだけは、しちゃダメだ。

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考えよう。

マキに、相談してみよう。

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今回のことを全部話して、はっきりとマキに目を覚まさせてもらおう。

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マキなら、ガツンと私に喝を入れてくれるはず。

それが、今の私にできうる最良の選択だと思った。

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ドライヤーで乾かした髪に、手櫛でさっとジェルをつけて、ざっくりとシニヨンにまとめたところで。

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ユウさんが着いたことを知らせる、インターホンの音が聞こえた。