きっとまた逢える 2 (ページ36)

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74 我慢＊翔＊ページ36

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Aさんの言葉を聞いても、まだどこか信じられなかった。

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「俺…Aさんが好きだよ。彼女をちゃんと説得するから、…そしたら俺と、付き合って下さい」

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真面目に言わなきゃ、って。

真摯に言ったつもりなのに、Aさんはクスクスと笑う。

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「どうして笑うの…」

「だって」

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Aさんは俺の胸に添えていた指を、トントンと動かす。

「こんな押し倒されてる体勢で、付き合って下さいなんて。…なんだかおかしくて」

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そう言われてみれば、確かにそうだ。笑

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「俺はちゃんと言ったよ？…はい、次はそっちの番」

「…私も」

「聞こえませーん」

「もう！笑

…私も、櫻井さんのことが好きよ」

「いい加減、櫻井さん呼び、やめない？そろそろ名前で呼べよ。俺もAって呼びたい」

「…翔、さん？」

「翔でいいよ」

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そう言った俺に、Aさんは、「ムリ…」と呟く。

こういうとこがさ、やっぱりそうだ、って感じるとこでもある。

俺の記憶の中の彼女も、一度も俺のことを名前で呼んだことなんてなかった。

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でもさ、もう今はあなたの方が年上なんだからさ。

遠慮なんてしなくてもいいいのに。

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「…櫻井さんって」

「だから、翔だって」

「あ。ふふっ。…翔さんってね、不思議なの。

こんなにドキドキしてるのに、包まれてるような安心感があって、色んな不安なコトが一緒にいればきっと大丈夫って、そんな気持ちになるの」

「俺も」

「え？」

「俺よりも年上だってわかってんのにさ、なんかやっぱりそんな気がしないっつーか。

今のAも、俺が守ってやんなきゃって、そんな気持ちになる」

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Aは微笑んで、でも、と続ける。

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「でもね、やっぱりけじめはつけなきゃいけないと思うの」

「…そう言うと思った」

「この間はね、私もいけなかったと思う」

「もしかして、後悔してる？」

「ううん。あの時の私達があって今があるわけだから、後悔はしてない。

だけど、あれを思い出にするならお互いの胸にしまっておけばいいけど、これから始めるのなら」

「…わかったよ」

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Aの言いたい事はわかった。

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つまり、俺が、彼女と。

Aが、ユウイチと。

お互いの相手とちゃんと切れるまで、もうシないっつーことだよね。

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言いたい事は、わかったけど。

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俺、我慢できっかな…