きっとまた逢える 2 (ページ32)

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70 夢ん中＊和也＊ページ32

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…夢を見てる時にさ。

ああ、今夢見てんな、これは夢だな、って思いながら見てることあんじゃん？

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今が、それよ。

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夢だって、わかってんのに。

なのに、なんか内容がちょっと、アレでさ。

我ながら、マジでちょっと焦った。

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俺がAちゃんのこと、この寝室の、このベッドの上で押し倒してんの。

そんでさ、俺がキスしようとしてんのに、Aちゃん、ぜんっぜん動じねぇの。

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それどころかさ、素直に目ぇ、閉じんのよ。

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シーツの、滑らかな手触り。

伏せられた、長い睫毛。

そこに押さえつけた華奢な手首は、抵抗もしなくて。

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そっと、押し付けただけの唇。

何も塗られてないそれは、柔らかさや温度なんかをやけにリアルに感じて、生々しい。

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あー…、そっか。

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さっき、リビングのソファーでキスしたからか。

だからこんなに、リアルなわけね。

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夢ん中だってわかってんのに、もう、止まんなくなりそうで。

これ以上は、いくら夢でもやべぇだろって思って、俺は現実に戻ろうとむりやり目を開けた。

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あっちぃ……、なんだこれ。

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体中から噴き出す汗。

顔が、火照る。

ぐっしょりとそれを吸い込んだ下着もシャツも、不快で仕方がない。

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俺は、額を手で拭った。

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外から帰って来たままの服。

俺、着替えもせずにベッドに直行したんだっけ。

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リビングから、話し声が聞こえた。

一瞬、テレビを付けっぱにしてたかなって思ったけど、その声の主が、翔ちゃんとAちゃんだと、気付いた。

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…あら、まだいんのね。笑

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喉がカラッカラで、水が飲みたくてどうしようもない。

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でも…

今リビングに出てったら、お邪魔かな。

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そう思ったけど、発熱時独特の喉の渇きには耐えられなくて、俺はそっと様子を伺うように、寝室のドアを少しだけ開けた。

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そしたら。

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ソファーの上で膝立ちになった翔ちゃんが、Aちゃんに覆い被さって、キスしてて。

無音の室内に、微かに、翔ちゃんの小さな、甘い吐息が聞こえた。

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そんなのはもちろん、俺は今まで聞いたことがなくって、うわ！って焦ってたら。

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さっき俺が、夢ん中で握ったはずのAちゃんのその手が、翔ちゃんの背中のシャツをギュッと握った。