きっとまた逢える 2 (ページ26)

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64 口説き文句ページ26

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「次、ヘンなことしたら帰るからね」

二「ハイハイ」

「ハイは、」

二「一回な」

「……」

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私は、二宮さんが出してきた冷えピタを、二宮さんのおでこに貼ってあげた。

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まだ二宮さんは、前歯が痛い、と言っていたけど。

私のおでこにだって、歯形と共に赤紫色に窪んだ傷跡がついていて、きっとしばらく痕に残ると思う。

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でも、そんなことより、私はさっきタクシーの中で二宮さんが熱っぽいって言ってたことを思い出していた。

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よく見ると、潤んだ茶色いガラス玉みたいな目は充血してるし、目の縁も赤い。

さっき、二宮さんの体が落ちてきた時に触れた、素肌の背中も、胸も、腕も、とっても熱くて。

驚いた私は、二宮さんの頬っぺたを両手で触って、発熱を知った。

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かなり高い熱があるのは明らかで、寝てたら治る、と二宮さんは言うものの、ほっといて帰ることなんてできない。

だからとりあえず、冷えピタを貼った二宮さんをベッドに休ませたものの、どうしたものかと私は考えあぐねていた。

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二「…なぁ」

二宮さんが、薄暗い天井を見つめて呟く。

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「なに？」

二「…さっきさ、流行ってんのかって言ってたじゃん」

「ああ、…うん」

二「あれ、どういう意味よ？」

「……初めて会った時も言ったじゃない？どこかで会った感じがするって」

二「そんなこと言ったっけ？」

「言った」

二「覚えてねぇなぁ」

「……」

二「まぁでも、今もそんな気がしてるかなぁ」

「ほら。またそんなこと言う」

二「だってそう思うんだからしょうがねぇじゃん。…で、それがなに？」

「……うん。似たようなことをね、櫻井さんが言うの」

二「あんたとどこかで会った気がするって？」

「まぁ、…そんな感じかな」

二「へぇ…翔ちゃんがねぇ。笑」

「だからね、みんな、そういうのがお決まりの口説き文句なのかなって思って」

二「みんな？え？…俺ら五人のってこと？」

「うん」

二「そんな恥ずかしい口説き方、誰もしねぇわ！！笑」

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二宮さんは肩を揺らしてクスクス笑うと、スッと私に手を伸ばし、まだシクシクと痛む私の傷跡にそっと触れた。

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二「ごめん。…痛む？」

「すっごく」

二「……ちっとは気ぃ遣って大丈夫とか言えや」

「だいじょーぶ。笑」

二「……チッ」

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顔をしかめる二宮さんが、なんだかとても愛おしかった。