きっとまた逢える 2 (ページ15)

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53 例えば＊翔＊ページ15

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マ「翔くんったら、突然どうしたの？笑」

不思議そうに俺を見て、マキさんは笑う。

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翔「いや…」

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肝心のユウイチはと言えば。

唇にさっきと同じような微笑みを湛えたまま、静かに俺を見ていた。

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それが余計に、俺にはない余裕のようなものに感じて、一層苛立ちが募る。

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ユ「櫻井くん、それ、どういうこと？」

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翔「言ったとおりですよ。俺、ユウイチさんくらいの年齢の恋愛観に興味があるんです。

……もちろん、例えば、なんですけど。

…もしAさんに、ユウイチさん以上に愛した恋人が過去にいたとして。

で、その恋人とユウイチさんの知らないところで再会していたとしたら。

その場合、ユウイチさんならどうしますか」

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みんなの視線が、俺からユウイチに移る。

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ユウイチは、まだ薄らと微笑んだまま黙りこくっている。

好奇心剥き出しの視線の中、ただ一人Aさんだけが、不安そうな目で俺達を見守っていた。

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ユ「…うーん、どうもしないかなぁ。笑」

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翔「え、…それは、どういう」

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ユ「だって、例えAにどんなに愛し合った男がいたとしてもさ」

翔「はい」

ユ「それって、もう過去の話でしかないわけでしょう」

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翔「…でも、再会したことでお互いの想いが再燃したとしたら、」

ユ「それはないよ。笑」

翔「どうしてないと言い切れるんですか」

ユ「えっ？笑」

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ユ「どうして、か…

だってさ、今の自分達がしっかりしてたらいいだけの話だと思わない？

お互いが愛し…、愛とか口に出すのは結構恥ずかしいものだね。笑

まぁ、お互いのことを信頼してたらさ、よそ見なんてすることはないんじゃないかな？

……それに万が一、ほんの一瞬よそ見したとしても」

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ユウイチは、さっきまでの笑みをどこかにやって、俺を真っ直ぐ見据える。

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ユ「それは、愛なんかじゃないよ。

懐かしさと愛を、履き違えてるだけだ」