また、アシタ (3)

▽ ページ49

『本当はね、

私も怖いの。自分がもし死んじゃったら、
残された人はどうなるんだろって。』


昨日は一言も吐かなかった弱音


「A･･･」


Aは自分の目の前で人が死ぬ瞬間を

目の当たりにしたことがあるから

気持ちがわかるから


そう言っているのだと思う


『私だってね、

亜嵐や海人に寂しい思いをさせたいわけじゃない。

亜嵐の言う通り、海人や、これから生まれてくる子供に母親のいない人生を送らせることはしたくない。


だけどね、

自分の命を救うために、
このこの命を奪うような真似はしたくないの。

この子には未来がある。

私はさ、大切な人に出会えて、結婚も出来て母親にもなれた。

この子にもこの先そういう人生が待ってる。


だから私の意思は変わらない。

ごめんねいつまでも自分勝手で、

だけどやっぱり、私はこの子を産みたい。


そのためには亜嵐の力が必要なの。

お願い、、』



何も、返す言葉が見つからなかった

ただ、

Aの眼差しが

あまりにも真剣で


俺はただただ

Aの話に黙って頷くことしかできなかった



「もう少しだけ、時間もらっていい？」


まだ、

俺の中できちんと答えが出せない


このまま流されたままじゃ

きっと生まれてくる子供の存在を

素直に喜べない気がするから


だからもう少しだけ

時間をください

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