また、アシタ (3)

▽ ページ45

『この子の命を犠牲にして生きていくなんてできないよ！産むって言ったら産む！』

亜嵐「勝手に決めんなよ、海人やこの子に母親のいない人生を送らせるつもりかよ！」


ついカッとなってそんなことを言ってしまった

亜嵐「ごめ･･･」


勢い余っていちばん言っちゃいけないこと言ってしまった

Aは涙をポロポロ流しながら

『亜嵐に何がわかんの！』

と言った


そりゃそうだ

病気でいちばん不安なのはAなのに

俺は何もわかってない


いつかAが言ってた言葉を思い出す

『命をかけてでもこの子を、この子達を守りたいって思った』


Aは俺の奥さんである前に

母親なんだ、立派な


「うぇ〜〜ん、」

寝室から聞こえる海人の泣き声

大きな声で言い合いをするから起こしちゃったみたい

『ごめん』


それだけ言い残して寝室に行ってしまった


･･･どうしたらいい？

子供のことも大切だし、お腹の赤ちゃんに会いたいのは俺も同じ


だけどそれ以上に

Aがいなくなるかもしれないと思うと怖くて

Aがいない人生は考えられなくて


俺は何よりAに生きてほしいと思う


だけど

自分がAの立場に立った時、

その選択を強いられた時、

Aと同じように考えるような気がした


しばらくして、

寝室をそっと覗くと

海人の手を握ったまま眠るA


頬に残る涙のあと


ごめんね、A

弱い夫で、
弱い父親で



俺たちはこれから、

どうなるのだろう

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