また、アシタ (3)

▽ ページ30

「私が幸せでいて、嫌じゃないの？」

『嫌なわけないじゃないですか。今のあなたならきっといいお母さんになれます。頑張ってください。』


自分でもびっくりするくらい

あんなに酷いことされたのに

彼女をすんなり許してる私


でも彼女の言うことはまっすぐ私の心に届いて

本心で言ってることは分かったから


「Aちゃん･･･」

『私も今幸せですし、こうして話してくれてようやくスッキリしました。本当は、ずっと怖かったんですけど、

これでもう大丈夫。

だからお互い頑張りましょ』

「本当にいいの･･･？」

『お姉さんだって大きな傷をおってるんです。私と同じ、いや、兄弟を亡くすってもっと辛いことですよね。

弟さんの分まで、幸せになってください。』


そう言うと

彼女はポロポロと涙を流しながら

何度も何度も

「ありがとう、ありがとう」って


そのタイミングで

彼女が看護師さんに呼ばれた


「行かなくちゃ、

ありがとうね。あなたも元気な赤ちゃん生んでね」

『ありがとうございます』


そう言って診察室へ入っていく彼女の元に

一人の男性が近づく

旦那さんかな


その男性は私の方を向き

頭を下げた

そして彼女の頭をぽんぽんと撫でていて


素敵な人に出会ったんだなって

出会いがこんなにも人を変えるんだなって思った



彼女とその旦那さんの後ろ姿を見て

夫婦2人で検診に来れることを

少し羨ましく思いながら

私は呼ばれるのを待っていた


この日ずっと恐れていたものから解放されて

私は本当の意味で

幸せを手に入れたような気がした

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