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実弥さんが再び此処へと訪れたのは、あれから数年ほどが経過した頃だった。



「…世話になる。」
『よくお越しくださいました。ごゆっくりお過ごしくださいね。』
「…あァ。」



しばらく見ぬうちに、随分と体躯が良くなり威厳が増したように思う。…傷も増えた。
粂野様のことは風の噂で聞いた。おそらく、それも関係しているのだろう。



『あの、』
「なんだァ」


あの頃のように、
もう気軽に呼び止めることは出来ない。








なぜなら、それは。


『ご昇格、おめでとうございます。…風柱様。』
「……あァ。」



そう、彼は鬼殺隊最高位である柱となった。
だからもう、気安く実弥さんと呼ぶことは出来ないし、また彼がそれについて言及してくることもないだろう。





目の前に居るのに、随分と遠くに感じて。
張り裂けそうなこの胸の痛みの感情は、
会えない期間に随分と育ってしまったらしかった。














『風柱様、よろしいでしょうか?』
「…あァ。」

久々の再会に、いてもたってもいられなくなった私は夕餉後、彼の居る縁側を訪れた。






『抹茶と…おはぎはいかがですか?』

彼の好物は確かおはぎであった。
好物というものはそう簡単に変わるものではないはず。
せっかく会えたのだから…という私の下心だ。





「……もらうわァ。」

彼が私の手元のそれを見た瞬間、少しだけ表情が和らぐのを見逃さなかった。
頬が緩んでしまうのを抑え、隣へと腰を下ろす。



特に会話をするわけではない。
しかし、彼の隣は温かくて、心地がよかった。









『…そろそろ寝る時間ですね。お邪魔致しました』


食器を持ち腰をあげる。では…と背を向ける私を呼び止めたのは、他でもない彼だった。




「…オイ、実弥さんって呼ばねェのか。」
『え、っと…その、』
「柱になったからって別に気にする事はねェよ。
……風柱様ってのは、気に食わねェ。」
『わ、わかりました、…実弥さん、』





恥ずかしくて、彼の顔を見ることは出来ない。
しかし、返事をした彼の声色が少し弾んでいるように思えて。







『お、おやすみなさいっ…。』

逃げるようにその場を後にすると、
後ろからくすりと笑う声が聞こえたような気がした。


6、→←4、



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設定タグ:鬼滅の刃 , 不死川実弥 , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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ユリア(プロフ) - ねぇえええええまって私も聞いてない久々ツク開いたらなんなのこれ何で呼んでくれな(死) (2022年11月1日 22時) (レス) id: 5f1067fe3a (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - みおさん» ありがとうございます💖もう少し更新続きますので楽しんで頂ければ嬉しいです💖感謝ァ! (2022年9月25日 20時) (レス) id: 9cf14e7eab (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - あさひゆうひさん» あさひの新作通知もずっと待ってる!待ちすぎて舞ってる💃唯梨さんの実弥読めて私も嬉しかったよ!爆速過ぎて吹いたけどね!笑 いつも感謝ァ! (2022年9月25日 20時) (レス) id: 9cf14e7eab (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - みんなお祝いコメントありがとうっっっ🥰❤️もう書かねェ…!って思ってたけどみんなのおかげで創作意欲が湧きました!今後ともよろおねでっすー💁🏻‍♀️❤️❤️ (2022年9月25日 18時) (レス) id: e4ce53ad81 (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - 奏海さん» かなみちゃんありがとうね🥰❤️色々落ち着いて戻ってきちゃった🧡🧡🧡🧡 (2022年9月25日 18時) (レス) id: e4ce53ad81 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:京華/唯梨/羽糸/ひよ/あさひ x他4人 | 作者ホームページ:ありません  
作成日時:2022年9月21日 11時

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