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『不死川さん…』
「あ?」
『あの…失礼します。』
珍しく少し怯えた様な顔で話しかけてくるAに疑問を持ちつつ出てくる言葉を待った。
『……………実弥、さん。』
「……は?」
突然呼ばれた下の名前。呆気にとられて荷物落としそうになったわ…クソがァ…不意打ち過ぎて反応し損ねた。
そこで思い当たる。
「……匡近かァ」
『すみません。』
少し悪戯に笑うA。たしかこの屋敷にはアイツも泊まっていて俺も泊まった事を知ったらしいアイツはやたらとAの事を褒めちぎってやがった。アイツの差し金だな。
『粂野様に不死川さんの事を名前で呼んでみてくれって言われまして…』
「あンのお節介野郎…柱になる前に牛鍋奢らせてやる。」
『仲がよろしいんですね。粂野様も不死川さんの事を楽しげに毎回お話してくれるんです。悪乗りして失礼な事を。』
「…いや、」
『…え?』
「実弥でいい。これからは実弥って呼べ。そしてアイツにも俺のことは実弥って言え。」
『えぇ!?』
アイツ女にモテたがってたかんな。細やかな仕返し。だがAに実弥と呼ばれた事は嫌な気はしなかった…のは、匡近に呼ばれ慣れていたから……そう、思うことにした。
『あ、あの…不死川さ___
「実弥ィ。」
『…恥ずかしいです。』
「………いちいち口に出すなや!…クソがァ。」
『すみません。』
「チッ、………謝ンなや。」
だぁぁぁ、クソ。むず痒ィ。
『実弥さんは口は悪いけどいいヤツなんだと粂野様は言われていましたが、私もそう思っておりました。庭先に迷い込んだ猫に向ける視線は優しかったですし、この前神社で犬と遊んであげてましたよね?』
「…ただ纏わり付かれてただけだァ。」
『今日だって、荷物まで持って頂いて…実弥さんはお優しい、です。』
「………」
『この前たまたま拝見したんですがお布団かけ直してあげていましたよね?年下の隊士の方の。』
「…もういい黙れェ___って危ねェ!」
『うわぁぁ!すみません!!』
話に夢中ンなって電柱激突しかけるとかコイツ何なんだクソがァ…
「もういい。」
『…え?』
「律儀に三歩下がって歩いてンじゃねェよ。横に並べェ。お前危なっかしいンだよ!」
『…すみません。』
横に並び延びるさっきまで重なっていた二つの影。逆光でAの顔は見えづらいが少し紅くなってンのは気の所為だろうか…
『また、お逢いできる事を楽しみにしております。』
「……死ンでなけりゃまた、来る。」
日の暮れかけた夕刻、鬼なんざ居なけりゃいいのに…何度考えたか知れねェ。
京華
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ユリア(プロフ) - ねぇえええええまって私も聞いてない久々ツク開いたらなんなのこれ何で呼んでくれな(死) (2022年11月1日 22時) (レス) id: 5f1067fe3a (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - みおさん» ありがとうございます💖もう少し更新続きますので楽しんで頂ければ嬉しいです💖感謝ァ! (2022年9月25日 20時) (レス) id: 9cf14e7eab (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - あさひゆうひさん» あさひの新作通知もずっと待ってる!待ちすぎて舞ってる💃唯梨さんの実弥読めて私も嬉しかったよ!爆速過ぎて吹いたけどね!笑 いつも感謝ァ! (2022年9月25日 20時) (レス) id: 9cf14e7eab (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - みんなお祝いコメントありがとうっっっ🥰❤️もう書かねェ…!って思ってたけどみんなのおかげで創作意欲が湧きました!今後ともよろおねでっすー💁🏻♀️❤️❤️ (2022年9月25日 18時) (レス) id: e4ce53ad81 (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - 奏海さん» かなみちゃんありがとうね🥰❤️色々落ち着いて戻ってきちゃった🧡🧡🧡🧡 (2022年9月25日 18時) (レス) id: e4ce53ad81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:京華/唯梨/羽糸/ひよ/あさひ x他4人 | 作者ホームページ:ありません
作成日時:2022年9月21日 11時