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前日の寒波を引き摺った、肺を刺すような寒さの夜明け。



左腕に目を落とし、太刀筋通りに赤黒く腫れ上がった様子に舌打ちをする。
容赦無く吹き付ける寒風に目を細めながら、重い足を引き摺った。


何となく、まっすぐ家に帰る気にならず、不本意ながらも音柱邸、水柱邸で手合わせをしていると、何事もなかったかのように夜は明けた。
疲労と眠気で限界の朧げな意識のまま、風呂と食事を済ませる。味気ない食事を雑に口に放れば、帰宅時よりも陽は高く昇り、空は白さを増していた。


近頃任務が減ったせいか、寒さのせいか、少しも体力は残っていなかった。


なだれ込むように布団へ入る。


鬼殺隊に入ってから、幾重にも夜を明かしてきた。
安寧が近づく事はなく、むしろ遠のいていくような感覚ばかり。障子から漏れる陽の光を睨めながら、これまで自分の手からすり抜けていったものに想いを馳せる。

そしてすぐに浮かんでしまう女の姿に、巡らせた思考を遮断した。

俺は寝返りを打って、その光に背を向けた。
長い溜め息を吐けば、意識が段々と遠のいていくのが分かった。



“また、いつか───”



何かを察知したかのように目を覚まし、辺りを見渡した。
ひんやりとした室内で汗ばむ額を拭いながら体を起こし、そのまま這いずって障子を開ける。
煌々と輝いていた陽の光はすっかり傾き、長い時間眠っていたことに気がついた。


「これしきのことで……クソがァ…」


汗ばむ浴衣を脱ぎ、綺麗に洗われた隊服に袖を通せば、微かに、懐かしさを感じる太陽と雪の香り。藤の花の帰りと同じ匂いだった。



沢山の犠牲を払って残ったものは、たった一人の家族だけ。
それだって上手くやれていない。幸せに生きる道へ導いてやることも出来ていない。
俺に多くを望む生き方は向いていない。
家族すらままならない俺に、Aは身に余る。ただ、それだけのこと。




「……本当、臆病なのかもなァ」



冷えた空気に、乾いた嘲笑が谺した。



羽糸

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設定タグ:鬼滅の刃 , 不死川実弥 , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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ユリア(プロフ) - ねぇえええええまって私も聞いてない久々ツク開いたらなんなのこれ何で呼んでくれな(死) (2022年11月1日 22時) (レス) id: 5f1067fe3a (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - みおさん» ありがとうございます💖もう少し更新続きますので楽しんで頂ければ嬉しいです💖感謝ァ! (2022年9月25日 20時) (レス) id: 9cf14e7eab (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - あさひゆうひさん» あさひの新作通知もずっと待ってる!待ちすぎて舞ってる💃唯梨さんの実弥読めて私も嬉しかったよ!爆速過ぎて吹いたけどね!笑 いつも感謝ァ! (2022年9月25日 20時) (レス) id: 9cf14e7eab (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - みんなお祝いコメントありがとうっっっ🥰❤️もう書かねェ…!って思ってたけどみんなのおかげで創作意欲が湧きました!今後ともよろおねでっすー💁🏻‍♀️❤️❤️ (2022年9月25日 18時) (レス) id: e4ce53ad81 (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - 奏海さん» かなみちゃんありがとうね🥰❤️色々落ち着いて戻ってきちゃった🧡🧡🧡🧡 (2022年9月25日 18時) (レス) id: e4ce53ad81 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:京華/唯梨/羽糸/ひよ/あさひ x他4人 | 作者ホームページ:ありません  
作成日時:2022年9月21日 11時

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