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今まで以上にいい点数を取るようになった。
三年生になり、彼が担任となってからは進んで係の仕事を請け負ったり、自ら進んで発言するようにもなった。
体育祭ではわざと足に傷を作って保健室へと連れて行ってもらった。少し心配するような視線が酷く気持ちが良かった。
文化祭では模擬店で着物を着た。化粧もして、いつもより女を見せる私に彼は「似合うじゃねェか。」と笑う姿に、そんな経験の乏しい私はもしかして…なんて自惚れたりもした。













『先生、合格しました。』
「おめでとさん。お前の事は心配してなかったけどなァ。」

大学合格の報告は、親の次にした。
仲のいい友達よりも先に。
彼はいつものように笑い、私の髪を撫でてくしゃりと乱した。




私の想いは、ますます大きくなるばかりで。
自分の中ではもう、処理しきれないほどになっていて。







「…好きです、不死川先生。」

うっかりと口を滑らせた私は、はっと我に返って顔を上げる。





「バァカ。俺は教師、なァ?」

彼は驚くわけでもなく、また動揺するわけでもなく。
ただそう言って笑うだけだった。














卒業の日、周りは涙ぐんでいたけれど、私の目は乾いたままだった。
あぁ、もう会えないんだなと、心にぽっかり穴が空いたような、そんな虚無感だけを感じていた。








「カナエ先生、そのピアスってさねみんからの〜?」
「ふふ、どうかしらねぇ。」







校門の傍、桜の木の下で。
友達と記念写真を撮っていた私の耳にふとそんな会話が耳に入った。

もともと、誰と誰が付き合っているだとか、
教師同士の恋愛の話は学生の間ではよく話題に上がっていて、彼と彼女の事も以前から噂になっていた。だけど、もちろん当の本人たちが認めるわけがなく、それをいい事に私はそんなはずはない、ただの噂だと自分に言い聞かせていた。



だけど、振り返った時に見えた彼女の照れくさそうな笑顔があまりにも綺麗で、幸せそうで。














『…忘れ物、取ってくる。』

残酷なほどのそれは、私を衝動的に動かした。

ー3→←不死川実弥(唯梨)



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設定タグ:鬼滅の刃 , 不死川実弥 , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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ユリア(プロフ) - ねぇえええええまって私も聞いてない久々ツク開いたらなんなのこれ何で呼んでくれな(死) (2022年11月1日 22時) (レス) id: 5f1067fe3a (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - みおさん» ありがとうございます💖もう少し更新続きますので楽しんで頂ければ嬉しいです💖感謝ァ! (2022年9月25日 20時) (レス) id: 9cf14e7eab (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - あさひゆうひさん» あさひの新作通知もずっと待ってる!待ちすぎて舞ってる💃唯梨さんの実弥読めて私も嬉しかったよ!爆速過ぎて吹いたけどね!笑 いつも感謝ァ! (2022年9月25日 20時) (レス) id: 9cf14e7eab (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - みんなお祝いコメントありがとうっっっ🥰❤️もう書かねェ…!って思ってたけどみんなのおかげで創作意欲が湧きました!今後ともよろおねでっすー💁🏻‍♀️❤️❤️ (2022年9月25日 18時) (レス) id: e4ce53ad81 (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - 奏海さん» かなみちゃんありがとうね🥰❤️色々落ち着いて戻ってきちゃった🧡🧡🧡🧡 (2022年9月25日 18時) (レス) id: e4ce53ad81 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:京華/唯梨/羽糸/ひよ/あさひ x他4人 | 作者ホームページ:ありません  
作成日時:2022年9月21日 11時

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