傍観者【MASHLE】 (ページ8)

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それから少し時は流れ、マッシュと名前は1人のレアン寮の生徒と向き合っていた。
相手は勿論、先日マッシュが初対面を果たしたあの仮面の生徒だ。ちなみに、今はちょうど仮面の生徒＿＿アビス・レイザーが自己紹介を済ませたそのすぐ後である。

ちなみに名前は今がアビスとの初対面な上、なんとなくお邪魔な雰囲気を感じているので大人しくマッシュの後ろに隠れている。

アビス「この前お会いした時のあなたの動き…とても素晴らしかったですよ」

マッシュ「あ…はい、どうも…」

マッシュ「…名前くん、何で僕の後ろから出てこな」

『だって僕その人知らんし今2人の会話やん』

マッシュ「…うす」

アビス「その時に気付いたのですが…」

アビス「＿＿＿＿あなた、魔法が使えないですよね」

マッシュ「……え…」

アビスのその言葉に思わず固まってしまうマッシュ。
自身の後ろにいる名前を見遣り、そして再びアビスを見つめ、

マッシュ「…そっ、そそそそんなことないですよ」

それはそれは、説得力が皆無な否定をした。

否定されるにしてもこんなにも分かりやすいものとは思っていなかったのか、アビスも名前も固まっている。尤も、名前はマッシュが魔法を使えないと初めて聞いたのにも関わらず笑みを浮かべたままだが。

『…マッシュくん』

アビス「…動揺していますよね？」

マッシュ「いっいや？しし…してませんけど」

しばしの沈黙。

マッシュ「してませんって」

『説得力無いわ』

マッシュ「…し、してませんって」

名前の的確なツッコミに、同じ言葉を繰り返すマッシュ。
「魔法が使える」と主張し続けるマッシュに、なぜか黙り込んでいるアビス。その2人の間にいながらも、名前は笑みを崩すことなく、いや、それを面白いとでも言うかのように笑みを深めていた。

しかし、マッシュとアビスはお互いを見つめ合っているせいでその異変に気づくことなく。
そのまま、会話が再開した。

マッシュ「……してません」

アビス「…心配しなくてもいいですよ」

頑なに否定をし続けるマッシュに、アビスは自虐気味に笑いながらそう告げる。

アビス「私もあなたと同様…忌み嫌われる存在ですから」

どこかで、狐が笑う声がした。