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マッシュらと別れ、無事自室へと戻ってきたランス。今日は戦闘も含まれた授業だったからか、部屋の扉を閉めると同時にドッと疲れが出て思わずため息が漏れ出ていた。
ランス「……ふぅ」
「なんや、えらい疲れてるやん相部屋クン」
ランス「……」
勢いよくベッドへ腰掛けたランスへ、対のベッドから声をかける者が1人。
「困り事?何でも相談聞くで」
ランス「いい、不要だ」
「つれへんなぁ」
ランスが邪険そうに扱うも、相手は全く動じていないようでけらけらと愉快そうに笑っている。
全く、同じ課外授業を受けたというのに何故こんなにも疲れの度に差が生じているのだろう。
「っていうか、そろそろ名前教えてくれてもええんやない?相部屋クン、って言いにくいんやけど」
ランス「仲良くするつもりのない奴に名前を教える理由はない」
「えー、いけず〜〜僕らルームメイトやで?」
ランス「それがどうした」
そう、ランスとこの少年は相部屋の相手同士…つまりルームメイトなのだ。マッシュとフィンの様子を知っている人ならば分かるだろうが、同じ空間を共有する相手とは対等な関係でありお互いがお互いを信頼することがかなり大切になってくる。が、ランスは頑なにこの少年に自己紹介をすることさえ拒んでいた。
「何がそんなにあかんの?僕こんな優しそうなんに……」
ランス「…なんか」
「なんか?」
ランス「…糸目が怪しい」
「………は?」
少年は意味が分からないといった風に声を漏らし固まり、それをランスは無表情で見つめている。
長いようで短い数秒が経った後、少年は弾かれたように叫んだ。
「いっ、いま、僕のアイデンティティが怪しいって言うたか今⁉︎」
ランス「言ったな」
「ちょっ…人の心無いんか!」
そのままぎゃいぎゃいと言い争っていた2人だが、不意にランスが欠伸を一つ溢したことにより会話は途切れた。相部屋の少年はどうしたのかという風にランスを見つめ、不思議そうな表情をしている。
ランス「……疲れているんだ、いい加減休ませろ」
「…なんや、つまんないの」
ランス「俺はお前との会話を楽しいと思ったこと自体無い」
「あーはいはい、分かったから寝るんなら早よ寝え。」
ランス「おい、なんだその反のう…は……」
ランスの言葉に対し半ばやけに返したような反応を示す少年。
それにランスは即座に反応したが、何故か言葉の全ては紡がれることなく意識が落ちた。
「…おやすみ、相部屋クン」
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作者名:猫のお餅( ・ω・ ) | 作者ホームページ:なし
作成日時:2024年3月10日 15時