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『…はえー、結構重症やな……ほいっ』
ドットの怪我をまじまじと一通り見つめた名前は、懐から杖を取り出し一振りする。
周辺に薄く光が舞ったかと思えば、瞬きをした次の瞬間には、ドットの怪我は全て消えていた。ついでに頭や口から垂れていた血までもがなくなり綺麗になっている。
マッシュ「……わお」
『どや、すごいやろ』
マッシュ「はい、ありがとうございます」
『怪我は治したけど、一応まだ寝させといてやってな。心の休息も大事やし』
マッシュ「うす」
『うん、ええ子ええ子』
マッシュが頷いたのを確認した名前は、よっこいしょと老人くさい掛け声をしながら立ち上がり杖をしまった。
『…したら、僕はそろそろお暇するわ』
マッシュ「あれ、もう行くんですか」
『まあ、この子起きてお前誰だとか言われたら面倒やし』
マッシュ「…確かに?」
名前の言う面倒がいまいちよく分からなかったマッシュだが、ドットを治してくれたことだしと頷くこととした。そんなマッシュを満足げに見つめた名前は、再度口を開く。
『きっとその内会えるで。僕は面白いことが好きやから、なんか騒ぎ起こっとったら見に行くわ』
マッシュ「いや…僕、騒ぎ起こす人じゃないんですけど」
『んー…君はそのつもりでも、多分何かしら起こりそうやし。』
マッシュ「そんな」
既に学年内でちょっとした有名人になっているというのに、気付いていなかったのかショックを受けたような表情を浮かべるマッシュ。そんなマッシュの鈍さに呆れているのか面白がっているのか、名前は小さく笑い声を零しマッシュの方へと近付いた。
『じゃあな、マッシュくん。近いうちにまた会えることを願っとるで』
マッシュ「うお」
マッシュを見上げて笑ったかと思えば、背伸びをして手を伸ばしマッシュの頭を数度叩いた名前。
急な衝撃に思わず目を瞑ったマッシュだったが、その心地よい刺激に目を細めた。
マッシュ「……あ、ちょっと待って……」
マッシュ「…あれ」
ふと、部屋の番号を教えてもらおうかと閉じていた瞳を開いたマッシュ。
が、もうその場には既に名前はおらず、比較的踏み固められた地面が広がるだけであった。
マッシュ「……まあ、また会えるらしいしいいか」
急に消えた名前にマッシュは首を傾げたが、まあいいかと思いながらドットを背負い集合場所へと向かった。
マッシュ「……あれ、そういえば僕自己紹介したっけ」
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作者名:猫のお餅( ・ω・ ) | 作者ホームページ:なし
作成日時:2024年3月10日 15時