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1[謎との遭遇] ページ1

マッシュがドットとの遭遇を果たし、課外授業にてシルバ・アイアンを見事打ち負かした後のこと。
課題である森サソリも成り行きで倒し無事星形の石を得たマッシュは、満身創痍となったドットを背負いその場を去ろうとしていた。


マッシュ「…そういやドットくん、森サソリの石持ってるのかな」

ドット「……な、めんな、そんぐらい、持ってるわ…」

マッシュ「おわ、びっくりした…」

ドット「…一応、保険として、持ってた…だけだけどな」

マッシュ「うす」


弱々しいながらもはっきりと答えたドットの言葉に頷き、足を踏み出そうとしたその時。
そばに生えていた茂みが小さく揺れ、何者かが此方へ近づいてきた。

マッシュは咄嗟に戦闘体制を取り、その茂みをじっと見つめる。
木の葉をかき分ける音が段々と近付いて、ついに目の前に……


マッシュ「……え」

『いやぁ、お見事お見事』


茂みから現れたのは、意外にも森サソリではなく人間だった。しかも、恐らく一年生の。
ぱちぱち、と小さく拍手をしながらマッシュ達の方へと歩み寄ってきたその少年は、マッシュにぶつかるまであと数歩という所で足を止めた。

皺一つないシャツとズボンに、綺麗に整えられた艶のある髪。そして、左の頬にある2本のあざ。
一対の瞳はどちらも閉じられているが、かえってそれが柔和な雰囲気を醸し出している。
良いところの育ちなのだろうか、姿勢や動きも洗練されていて美しさがある。


『影から見とったんやけど、まさか2年生に勝ってまうなんて君すごいなぁ』

マッシュ「…誰ですか、あなた」


ひとまず森サソリでなかったことに安堵したマッシュは、戦闘体制を崩しその生徒を見つめた。


『名前。名前・フォックスやで。君らと同じ、アドラ寮の1年生。よろしゅうな』


マッシュが戦闘体制を取ったことに動じることなくすっと手を差し伸べてきた少年ことロワ。
その姿に、先程のシルバとは違って好意的な態度で穏やかそうなオーラを感じたマッシュはとりあえずその手を握ってみる。そんな警戒心0で生きていけるのか、マッシュよ。


マッシュ「えっと、よろしく」

『はい、おおきに。』


握手をして、お互いの顔を数秒見つめて……
そしてマッシュは、この先何をすればいいか全く分からないことに気付いた。

それでも何か話すことはないだろうかと、頭を捻って捻って、そしてようやっと出てきたのが、


マッシュ「……ご用件は」

『…え?』


だった。

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作者名:猫のお餅( ・ω・ ) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2024年3月10日 15時

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