【A3!】雨、やまないね。【碓氷真澄】

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「真澄…」


「……………………」



そう言って、真澄は小さくうずくまった。





私は、こんな真澄を一度だけ見たことがある。







７年前。


当時9歳だった私と真澄の両親は、

今と変わらずあまり家にいなかった。




そんな中、迎えた真澄の9歳の誕生日。



「今日真澄ママとパパ帰ってくるよね！」

「うん」




小さい頃から無愛想な真澄だけど、

その日はとても嬉しそうで。




いつもより、よく笑ってたのを覚えてる。




「誕生日ケーキ、作ろうか！」



9歳の2人が作る、不細工なイチゴのケーキ。



「お父さん達、喜んでくれるかな」

「うん、喜んでくれるよ！
ていうか、それじゃ真澄ママとパパの誕生日みたいじゃん！」

「確かに」




プッ、アハハハッ。





ごちゃごちゃの台所で２人で顔を見合わせて笑ってた。





午後8時。



「真澄ママ達遅いね」

「仕事が長引いてるだけ」

「そっか…」

「大丈夫。帰ってくる」




２人でリビングで両親の帰りを待ってた。









午後9時。

「まだ…だね」

「うん。でも、帰ってくる」









午後10時。

「……………」

小学生だった私は、
眠気に耐えられなくてウトウトしていた。




でも真澄は、

「帰ってくる」



まるで自分自身に言い聞かせるように

何度も何度も言ってた。






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