泡沫の恋を君と2【佐野玲於】

オレンジ ページ21

貴｢まだ外明るいなぁ｣








夜が来れば玲於君が会いに来てくれる、そう思ったらワクワクしてじっとなんかして居られなくてお使をする為に家を出る








・







貴｢重い...｣







頼まれた物は野菜に果物に沢山。両手に重い荷物を持ちながらノロノロと帰り道を歩く








でも重くても、長い道のりでも玲於くんに会えるって思ったらなんでも楽しく出来るし苦じゃない









貴｢いちご。｣









スーパーで大きな苺が売ってて、玲於くんの顔が浮かんで、一人でいるのニヤニヤしちゃったんだよ、恥ずかしい、苺も買っちゃった。








いちごちゃん。前までは大嫌いだった呼び方、でも今は大好きで沢山呼んで欲しいって思うの







貴｢あれ、佳奈ちゃんかな。｣








重い荷物を持ちながら歩けば公園のベンチに座る佳奈ちゃん








一人かな？でも誰かと話してる様な気がする、丁度公園に植えている木で良く見えない








佳奈ちゃんと話したくて、何してるのって話しかけようと公園に近づく








貴｢えっ.... ？｣









公園に近づけば佳奈ちゃんの隣には玲於くんが座っていて、それでいて









｢私は玲於が好き｣









そんな聞きたくもなかった言葉が耳に届いて頭の中が真っ白になっていく、手に力が入らなくなって両手に持っていた荷物をどさりと落としてしまった









貴｢.. 。｣








落とした果物たちを袋の中に無造作に放り込む、未だに道路を転げ落ちるオレンジ等気にもせずその場を走り去って後にした。







・






貴｢そっか.. 、｣









好き、その言葉がずっと脳裏に響いて、不思議と涙が溢れ出てくる









佳奈ちゃん玲於君のこと好きなんだ、あんなに可愛くて、美人で優しくて、それでいて玲於君の隣にずっと居られる。









私が持ってないものを沢山持ってる佳奈ちゃんが羨ましくて、私じゃ何もかもがかなわなくて、足元にも及ばない。








貴｢うん、大丈夫。｣









決めた、もう私は玲於君の事好きじゃない、勘違いだった、ただ楽しくて好きだって勘違いしただけ、また前みたいに戻るだけ








だから佳奈ちゃんの恋を応援しよう。しなきゃダメだ、私はもう玲於君の事なんか好きじゃない









だってこのまま好きでいても辛くなるだけだから







佳奈ちゃんみたいに夏休みが終わっても隣に居られる訳じゃない、それならずっと隣にいられる佳奈ちゃんを私は応援するよ

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