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Cry Birthday ページ10
「お前の姉貴だよ」
淡々と、土方さんは言う。
そして、煙草に火を付けた。
普通なら、その煙草を取り上げて「止めてくだせェ」の一言くらいは言うんだが……
「姉上が!?」
この緊急事態に、そんなこと言ってられねェや。
「何で途中で呼び戻さなかったんでさァ!!」
「いや、普通無理だろ……」
早く、早く会いに行きてェのに……
服は血塗れだ。
こんな格好で、姉上には会えねェよ。
なんて、そう思ってた。
そしたら……
「十四郎さん？どうしたのよ、いきなり走り出したりなんかして……」
最悪のタイミングで、姉上が現れてしまった。
「あら、そーちゃん？」
姉上の対応は、至ってごく普通だ。
でも……
こっちとしては、その「普通」が堪えるんだ。
だって、姉上は普通のままだ。
なのに俺ァ……
「……お久しぶりです、姉上」
それでも「普通」を装って、姉上と一緒にいたいと願うんだ。
「用は伝えたからな」
空気を読んだのか、土方さんはどっかに行っちまった。
残されたのは、俺と姉上だけ。
「……不器用な人ね、」
それを見て、姉上は笑っていた。
クスクスと、楽しそうに。
……やっぱり、俺ァ、俺じゃあ、姉上を笑顔にさせらんねェ。
人を冷淡に斬り裂く、鬼みてーな奴には……
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作者名：山風栄斗 | 作成日時：2014年5月16日 21時
